第2次トランプ政権で金融グローバル化はリセットへ=欧州銀行幹部
Lawrence White [ロンドン 3日 ロイター] - トランプ次期米大統領が計画する輸入関税や米金融業界の規制緩和により、金融の「グローバル化」はリセットされるだろう――。ロンドンで開かれた「FTグローバル・バンキング・サミット」に出席した欧州の銀行幹部らは3日、こうした見方を示した。 トランプ氏はメキシコとカナダからの全輸入品に25%の関税を課すと述べている。スペインのビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)のメキシコ法人は同国最大の商業銀行であり、関税によって同国の競争力や経済成長に変化が生じればBBVAは最も大きな影響を受ける外国銀行の一つだ。 ただBBVAのオヌル・ヘンク最高経営責任者(CEO)は「米国の労働コストが100で、メキシコが10だとすれば、10(%)に25%を足す」だけのことであり、メキシコはコスト面で競争力を維持すると予想。「われわれはまったく心配していない」と述べた。 英銀大手スタンダード・チャータード(スタンチャート)の最高ストラテジー人材責任者、タヌジ・カピラシュラミ氏は、トランプ氏の関税は世界のサプライチェーンを混乱させる一方で、アジアと中東の銀行にとっては新たなビジネス機会が開けるとの見方を示した。 欧州中央銀行(ECB)のチポローネ理事は、トランプ氏の関税がユーロ圏の経済成長とインフレを低下させる可能性があると述べた。 トランプ氏は米金融業界で次々と規制緩和を行うとの見方がある。これに伴い、米国では銀行の自己資本規制「バーゼル3」の最終化「バーゼル・エンドゲーム」が欧州と同じペースでは実施されないとの観測も生じている。 英大手銀バークレイズのC・S・ベンカタクリシュナンCEOはこの点を警戒しつつも「米国は偉大で強力な制度を有しており、国際社会で非常に重要な役割を担っていることを自認している」と述べ、欧米でほぼ同じ時期にエンドゲームが採用されるとの期待を示した。 コンサルタント会社アルバレス・アンド・マーサルの調査によると、北米の銀行の純金利マージンは1.8%と欧州銀の1.2%を上回っている。欧州の銀行幹部らは、トランプ氏が自国市場に有利な政策を実行すれば、この差がさらに開きかねないと懸念している。