ジュリー氏謝罪から1年~男性の性被害への理解どう変わった?~
安西真実さん(40代・男性)は、子どもの頃に同級生や先輩からいじめや性暴力被害を受けた。性被害の当事者として20代から20年以上にわたり、「被害の実態」や「人生との向き合い方」、「トラウマや治療」などについて講演活動を行ったり、SNSで発信したりしている。 【動画】男性の性被害 社会は変わった? 安西さんを初めて取材したのは、当時のジャニーズ事務所がジャニー喜多川元社長による性加害を認め、謝罪したあとの去年8月。安西さんは性被害によって人生が変わってしまったという切実な思いとともに、「男性が性被害を訴えることの難しさ」を語った。そして、「ジャニーズ事務所の問題をきっかけに、男性の性被害はあちこちであると理解してもらいたい」と訴えていた。 あれから約9か月――男性の性被害に対する社会の理解にどのような変化が生じているのか、安西さんに再び話を聞いた。
■これまでの苦悩「男性の性被害なんて聞いたことがない」
「男子の場合は特に『被害を受けた』というその一言を発信することがものすごく怖くて、(言っても)否定をされる可能性が高いんですね」 去年、被害にあったと声をあげることの難しさをこのように話していた安西さん。 これまで20年以上、男性の性被害について伝える活動をしてきたが、当初は全く理解されずにからかわれたり、「同性愛なんじゃないのか」と心ない言葉をかけられたりすることもあったという。 被害を受けた苦しさやトラウマから受診した心療内科や精神科でも、「男性の性被害なんて聞いたことがない」と信じてもらえないことがあり、「女性ならともかく男性なんだし」と笑って済まされてしまい深く傷ついた経験もある。
■1年間で感じる変化「疑われず、信じてもらえる」
しかし、去年のジャニーズ性加害問題以降は、自身の活動の中で性被害を話した際の周囲の反応に変化を感じているという。 「最近は話しても、すんなり聞いてもらえる。まず疑いから入るのではなく、そういうこと(男性の性被害)があるんだという前提から聞いてもらえるというのはすごく大きい」「当事者としては、声をあげたときに疑われたり、ちゃちゃを入れられるのはすごく嫌。きちんと信じてもらえる、これはすごく助かる」 さらに、世間が性被害について注目するようになり、「自分も性被害を受けて苦しい」「こんな嫌なこともある」と声をあげやすくなったのではないかと安西さんは話す。