車重896kgの「超軽量EVスポーツカー」登場 英アリエル、電動オフロードコンセプト公開
2026年の発売目指す
英国のスポーツカーメーカーであるアリエルは、新型のEVコンセプト「Eノマド(E-Nomad)」を公開した。量産化に向けて開発が進められており、2026年に発売する予定だ。 【写真】悪路を走る軽量電動スポーツカー【アリエルEノマド・コンセプトの内外装をチェック】 (10枚) アリエルのサイモン・サンダース最高経営責任者(CEO)はAUTOCARの取材に対し、6万8000ポンド(約1300万円)のノマド2より1万ポンド(約190万円)ほど高くなると語っている。最終的にはバッテリーの調達コスト次第だという。 生産台数が比較的小規模のアリエルは、厳しい排ガス規制の対象から免れやすい。しかしサンダースCEOは、電動化を受け入れなければ、時代に取り残される可能性があると危機感を抱いている。 新型Eノマドは、英国を拠点とする2つのパートナー企業、ロックフォート・エンジニアリング社とBAMDコンポジット社との共同プロジェクト「ZELV(ゼロ・エミッション軽量車両)」の一環として開発されている。英国政府から30万ポンド(約5700万円)の助成金を受けたプロジェクトだ。 ノマド2と同じスチール製スペースフレームシャシーと全輪独立サスペンションを採用し、同様の後輪駆動レイアウトを持つ。ボルグワーナー製の水冷式モーターを1基搭載し、最高出力285ps、最大トルク50kg-mを発生する。 すでに数台のプロトタイプが製作されており、アリエルは最高速度185km/h、0-97km/h加速3.5秒を達成できると自信を見せている。 また、モータートルクの正確な伝達と、ワンペダルドライブの実用性から、オフロード走行における新たな利点を見出している。
独自の軽量設計
Eノマドは、回生ブレーキとアリエル独自の新しいABSシステムを備えている。プロトタイプの発展型では、さらなるチューニングによって328psの出力を生み出すことができるという。 パワートレインは、モーター、1速トランスミッション、インバーターを一体化したカスケーディア・モーション製のドライブユニット「iDM 190」で構成され、リアアクスルのすぐ前に取り付けられる。ユニット全体の重量はわずか92kg。 先進的なリチウムイオンバッテリーと制御ソフトウェアは、ロックフォート・エンジニアリング社によってEノマド専用に設計されている。450Vバッテリーの容量は41kWhで、高密度のペガサスV3モジュールを12個使用している。 これにより車両重量を896kgに抑えた。 バッテリーは重量配分を最適化し、ケーブルの引き回しを最小限にするためにリアバルクヘッドの後方に配置される。オフロードやサーキットでの使用に対応するため、高度な冷却/加熱システムを備えているという。 軽量ボディは、プロジェクトパートナーであるBAMD社の天然繊維バイオ複合材で作られている。亜麻植物から採れるセルロース繊維が特徴で、高い引張強度と剛性を発揮する。製造時のCO2排出量は、競合する複合材に比べて70%以上削減できるという。 量産型Eノマドでは、ボディスタイリングはさらに発展するだろうが、サンダースCEOはエアロダイナミクスを重視するとしている。 アリエルは今後、電動オフローダーに対する顧客らの反応を評価する予定だが、さらなる開発によって、ICE車とは異なるドライビング・エクスペリエンスを提供できると確信している。 「ガソリン車ではできないことをバッテリー車ではできるようにしたい。その逆もまた然り。それが双方を正当化するのです」とサンダースCEOは語る。