藤原実資が道長と紫式部から一目置かれた「理由」
1月21日(日)放送の『光る君へ』第3回「謎の男」では、さらなる権力掌握を図る藤原兼家(ふじわらのかねいえ/段田安則)による陰謀が描かれた。まひろ(のちの紫式部/むらさきしきぶ/吉高由里子)は父の藤原為時(ためとき/岸谷五朗)を通じて、図らずも兼家の計画に加担することになった。 ■まひろが華やかな貴族の暮らしに触れる 自分の不手際で捕縛された藤原道長(みちなが/柄本佑)を気に病むまひろは、弟の惟規(のぶのり/高杉真宙)を使って道長を探させるが、なかなか見つからない。 宮中では、安倍晴明(あべのはるあきら/ユースケ・サンタマリア)が邪気ばらいの祈祷を行なっていた。体調を崩した円融天皇(えんゆうてんのう/坂東巳之助)の回復祈願だが、容態は一向によくなる兆しを見せない。不審に思った藤原実資(さねすけ/秋山竜次)は、食事の支度をする陪膳の女房たちの取り調べを始めた。 女房を使って食事に薬を盛らせていたのは藤原兼家の命を受けた息子・藤原道兼(みちかね/玉置玲央)だった。兼家には円融天皇に譲位を迫り、自身の孫である懐仁(やすひと)親王を一刻も早く東宮に立て、天皇に即位させたいという目論見があり、さまざまな策を講じていたのだった。 そんななか、左大臣・源雅信(みなもとのまさのぶ/益岡徹)の動向を探るべく、藤原為時は謹慎を命じていた娘のまひろに、雅信の娘・倫子(ともこ/黒木華)らが集う和歌の勉強会に参加させた。 兼家の手助けをするために左大臣家の間者を務めるという為時の隠された目的を察したまひろは怒りを覚えるが、表立って父と対立することなく、勉強会に出掛けることを続けた。 そんなある日、散楽を見物したまひろは、道長と再会を果たす。その瞬間、散楽を演じていた男の面が外れて素顔があらわになった。その男は、道長が濡れ衣で捕縛される原因となった男だった。 ■絶対の権力者・道長にも怯まなかった実資 平安時代中期の様子を知る貴重な史料ともいえる『小右記』を著した藤原実資は、957(天徳元)年に公卿・藤原斉敏(ただとし)の子として生まれた。時期はよく分かっていないが、実資は祖父である藤原実頼(さねより)の養子となっている。 実資は、祖父・実頼から莫大な財産と膨大な記録文書を相続した。受け継いだ文書を精読することで、政治や儀式のしきたり、すなわち「有職故実」に通じた学識人となり、宮廷内では一目置かれる存在だったらしい。