選手起用ズバリで決勝点!! 尚志、堅守見せた学法石川を振り切って4年連続15回目の全国へ!!:福島
[11.16 選手権福島県予選決勝 尚志高 1-0 学法石川高 仙台大学サッカーフィールド郡山] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権の福島県予選は16日、福島県郡山市の仙台大学サッカーフィールド郡山にて決勝が行われ、プレミアリーグEASTの尚志高と福島県リーグ1部優勝の学法石川高が対戦。1-0で勝利した尚志が4年連続15回目の選手権出場を決めた。 前半開始直後から尚志は勢いを持って試合に入る。DFライン背後に抜け出したFW長坂隼汰(3年)がシュートを放ち、ポストに当たったがこれはオフサイドの判定。その後も尚志が押し気味に試合を進めたが、学法石川も堅守を見せる。前半12分には長坂の鋭いシュートをブロックし、前半37分にはMF西丸由都(3年)のシュートをGK樋下田修次(3年)が防ぐ。さらにはDF原田稔己(3年)、DF吉田遥登(3年)の2CBやキャプテンMF熊倉一真(3年)が体を張った守備を見せ続け、尚志の攻撃をはね返して前半は0-0で終えた。 後半も尚志が押し気味に試合を運びながらゴールを奪えなかったが、後半13分、この日多くの決定機をつくっていたDF市川京志郎(3年)に代えて、DF板垣大翔(3年)を投入する。その直後の14分だった。尚志はこの日キャプテンFW千住澪央(3年)が負傷欠場していたため、代わりにキャプテンマークを巻いた副キャプテンDF荒川竜之介(3年)がサイドチェンジのボールを入れる。これを左サイドの板垣がヘディングで逆サイドに折り返す。このボールをゴールに押し込んだのがMF大内完介(3年)だった。「大翔にボールが入った時、絶対折り返してくると思って、自分がしっかり準備したところうまく流し込めました」とファーサイドのゴールポスト際に入り込んで、ゴールを決めた。苦しんだ尚志だったがようやく先制点を得た。 その後、学法石川も反撃に転じ、セットプレーやロングスローから決定機をつくりだしたが、稲田正信監督が「かなり足にきていてシュートまで行けなかった」と振り返った通り、あと一歩攻撃にパワーを出すことができず、シュートは後半2本のみにとどまった。尚志は全員が高い守備意識を切らさず、1-0のまま試合終了を迎えて4連覇達成となった。 尚志の仲村浩二監督は「勝たなきゃいけないプレッシャーの中で勝てて良かったです。3年生を最後、選手権という最高の舞台に立たせたかったので、勝てて良かったです」とまずは全国への切符を勝ち取るというミッションを達成できて安堵していた。学法石川が粘り強い守備をしてきたが、「バランスの良いサッカーはしていましたし、点をもぎ取れないのも想定内でした。焦れないように、良い感じで攻めているから必ず点が入ると伝えていました」と落ち着いていた。 そして、左サイドを市川から板垣に代えた直後に、板垣のアシストで大内のゴールで先制できたことも喜んでいた。「大翔がレギュラーだったのですが、攻撃的に行こうと決めて、サイドハーフ的な動きのできる京志郎で入りました。京志郎にちょっと消極的なプレーが増えてきたので大翔に代えました」という交代策が的中した。「あのタイミングで決まるとは」と仲村監督も先制点には驚いたという。 選手権に向けては「もっと攻撃的に尚志らしいサッカーをしたい。もっとアグレッシブにやりたい」と語る。そして次はプレミアリーグ残留へと気持ちを切り替える。「この後プレミアリーグ3試合があり、チームを残さなきゃいけません。ホッとできるのは今日だけです」と仲村監督は気を引き締めていた。 一方、敗れはしたが尚志をかなり苦しめた学法石川の稲田監督は、少し充実感もあるような表情だった。「自分のことだけしかしない子が多かったのですが、人のために頑張るようになりました。心技体と言いますが、心が伸びてこないと観客を魅了し、感動させるゲームはできません。何とかみんなで助け合ってすごく成長したと思います」と精神的な成長を見せた選手たちを称えた。ただ、失点後に攻撃のパワーを出せなかったことについて、「プレミアリーグと県リーグの差が出ました。後半いつも以上に足にきていましたが、そういう差を埋めるにはまずプリンスリーグ東北に上がらないといけません」と、12月のプリンスリーグ東北プレーオフに向けて意欲を燃やしていた。 (取材・文 小林健志)