10年間介護してきた父親が亡くなった。泣けない私は「冷たい人間」なのか【介護アドバイザーが解説】
◆介護が終わってホッとするのは頑張った証
ちなみに、大きな喪失感から心に穴が空いた感じになり泣けないというのはよくあることです。時が経ち、泣きたくなったら泣けばいいのです。 筆者も19年間介護した実母が亡くなったときは、いろいろな思いがありましたが、正直ホッとしたことを覚えています。 今までナオコさんは十分に頑張ってきたのです。介護が終わってホッとするのは頑張った証。どうか自分を褒めてあげてください。 たとえば、ショートステイなどで1週間ほど母親を預かってもらい、ナオコさん自身が休む時間を取ってみてはいかがでしょうか。久しぶりに友人と連絡を取って温泉旅行に行き、ゆっくり羽を伸ばすのもいいかもしれません。 介護が終わったあとは、ホッとするだけにとどまらず、心が燃え尽きてしまう「バーンアウト」のリスクがあります。何もやる気がおきない、気持ちが下がってしまう……などを避けるためにも、まずは「一旦、お疲れさま。今までありがとう」と自分をいたわってあげてほしいのです。 そして今後は、“自分のできる範囲”で母親と関わっていくことが大切です。「母を助けられるのはもう私しかいない」と思い詰めてしまうと、どんどん逃げ場を失ってしまいます。 これまで以上に、ケアマネジャーや医師などに相談しながら、自身の負担を減らしていく必要があると考えます。
▼横井 孝治プロフィール
両親の介護をする中で得た有益な介護情報を自ら発信・共有するため、2006年に株式会社コミュニケーターを設立。翌年には介護情報サイト「親ケア.com」をオープン。介護のスペシャリストとして執筆、講演活動多数。また、広告代理店や大手家電メーカーなどでの経験を生かし、販促プロデュース事業も行う。All About 介護・販促プロモーションガイド。
横井 孝治(介護アドバイザー)