【SHOEI X-フィフティーン インプレ】最高峰に相応しい空力性能、かゆい所に手が届く機能も満載だ
SHOEIの誇るハイエンドのフルフェイスがX-フィフティーン。モトGPなどの実戦でも使用される本格レース対応モデルだ。空力や静粛性、フィット感を追求し、前傾姿勢やハイドレーションなどレース向けの装備まで揃う。その実力はいかに? 【画像】SHOEI X-フィフティーンをギャラリーで見る(16枚) 文/Webikeプラス 沼尾宏明
レースでの勝利がコンセプト、とにかく性能を徹底追求した
プレミアムヘルメットで世界1位のシェアを有するSHOEI。X-Fifteen(フィフティーン)は同社製フルフェイスのトップモデルだ。前作のX-フォーティーンに続き、2023年1月から発売された。 レースでの「勝利」を目的に、長年にわたる実戦や風洞実験などの研究成果を結集し、前作から約7年ぶりに全面新設計。時速350km/h超の高速走行でも安定した空力性能を発揮することを狙い、空力性能を追求している。 帽体は、ガラス繊維と有機繊維を積層した「AIM+」構造で、軽さと剛性弾性を両立。前作はスネル規格を取得していたが、本作では国際レースに対応したFIM規格を取得している。 空力性能に関しては、前作からヘルメットが上方へ浮き上がろうとする力を1.6%減、前方から押し付けられる力を6.1%低減した。 ●価格:7万7000円~ ●サイズ:XS、 S、 M、 L、 XL、XXL ●規格:JIS、MFJ、FIM
圧倒的な安定感、現行品でトップレベルの空力性能だ
説明が長くなったが、それにしても機能満載だ。現時点におけるSHOEIの技術の粋が結集されており、ここまで豊富な装備を持つヘルメットはないだろう。 実際の被り心地は、いかにもレーシーな雰囲気ではなく、全体を支えつつも適度にソフトな感覚。頬が少しだけタイトながら面で頭部全体をホールドし、疲れにくいのが印象的だ。 重量は1606g(Lサイズ プロキシー ドライレンズ装着状態 ※チンカーテン装着時は1613g)。1428gのZ-8(筆者実測 Lサイズ)と比べれば、さすがに重さを感じるものの、本格レース仕様としては平均的で、苦にならない。 走り始めると、すぐ換気されていることがわかる。特に口まわりの換気効果は高く、チンガードを装着した街乗りの速度レンジでも体感できた。さらにチークパッドにも風が通ることで頬のベタつきが少ないのも素晴らしい。 100km/hで巡航してみると、空力特性の高いヘルメットでもありがちな「ゴォーッ」という低音が少ない。そして直進安定性が抜群。浮き上がりや押し戻される感覚がほぼなく、とにかく平穏だ。この安定感は筆者がテストした数あるヘルメットの中でも最上級クラスと言える。サーキットでこそ真価を発揮する高性能だが、もちろん公道でもその恩恵に預かれるのだ。 前作のX-14よりサイドのスタビライザーが小型化された影響か、横を向いて死角を確認した際の抵抗が少ないのもよかった。総じて静穏性、安定感とも、レベルの高いZ-8より一段上回っているのはさすがだ。 加えて、上方向の視界が確保されているため、前傾ライポジでも首がラク。上方視界が狭いと首の角度がキツく凝ってしまうが、これほど前傾での視界が優秀なヘルメットもそうそうない。 一方で少し気になったのがヒューという高音の風切り音。100km/h前後から耳元あたりでわずかに発生していたが、ベンチレーション全閉時はほぼなかったので吸気音なのかもしれない。 またシールドのセンターロックを解除してオープンする際、ロックボタンを押しながらシールドのタブに指をかけ、シールドを上げる動作が必要。慣れないと手間取るが、カッチリとロックできるのはメリットだ。