老後の生活費はどれくらいかかる? 実際の退職後の支出を見てみよう
生活費を増やさないようにするポイントは?
でも本当に現役時代の7割にできるのか? という疑問もあると思います。私自身がやってきたことはライフスタイルを変えて無駄を無くすことでした。私は現在経済コラムニストとして執筆活動が中心ですから家で原稿を書くことが多いため、現役時代に比べるとスーツをはじめ衣服にかけるお金は大幅に減りました。 さらに交際費も激減しています。現役時代は会社の帰りにちょっと一杯ということで行くとすぐに2000円や3000円は使ってしまいます。場合によっては月に何万円も使うこともあるかもしれませんが、退職後はほとんどなくなりました。また、広い意味での交際費ということで言えば、年賀状はほとんどリストラしましたし、冠婚葬祭の祝儀、不祝儀も大きく減っています。 よく老後のライフスタイルは「三かく」が大事だと言われます。「三かく」とは「恥欠く、義理欠く、見栄欠く」ということだそうです。これは確かにその通りだと痛感します。こういう「三かく」を実行するというのはなんだかケチくさくてみみっちい感じがするように思えますが、それは現役時代の感覚です。サラリーマンであれば現役時代の人間関係や付き合いはほとんど会社の人たちですが、退職すればそういう関係はほぼ無くなります。自分が思っているほど、人はあなたのことを気にかけているわけではありません。 そういう不都合な真実はあまり認めたくないと思いますが、これは私の経験上も明らかな事実です。そういうあまり形のない形式的なことに無駄なお金を使うよりも自分がやりたいことにお金を使ったほうがはるかに楽しいことは間違いありません。退職が近づいて来たら、モノだけではなくて支出構造も大胆に“断捨離”してみることをお勧めしたいと思います。 (経済コラムニスト・大江英樹)