戒厳令解除から37年 頼総統、歴史の真相公表は「政府の責務」/台湾
(台北中央社)台湾で約38年間続いた戒厳令が解除されてから37年となった15日、頼清徳(らいせいとく)総統は北部・新北市の国家発展委員会档案管理局を訪問し、戒厳令下の政治档案(公文書)の公開や活用に関する現状を視察した。歴史の真相を社会に公表したり、民主主義運動に関わった人の功績を表彰したりするのは、政府が当然負うべき責任だと述べた。 台湾では1949年5月19日に戒厳令の発令が宣言され、翌20日から戒厳令が敷かれた。87年7月15日に解除されるまでの38年にわたり、当時の国民党政府によって市民の思想や言論を弾圧する白色テロが横行し、多くの人が投獄されたり処刑されたりした。政府は現在、過去の政府による人権侵害やその結果の真相究明を目指す「移行期の正義」を推進しており、その一環として戒厳令下に政府や政党などが保管した政治档案の収集や保存、活用などを進めている。 頼氏は公文書の保管室や閲覧スペースを視察。戒厳令の解除を宣告した当時の文書に加え、戒厳令下で禁書とされた書籍や、歌唱などを禁じる「禁歌」とされた楽曲の一覧などを確認した。 頼氏はあいさつで、今日では自由や民主主義、人権がある環境で暮らせているとした上で、戒厳令解除記念日のこの日に、台湾の民主主義のために戒厳令の解除を推し進めようと貢献した全ての人々に最大の感謝をしなければならないと言及した。 また档案管理局に対し、各職員が「移行期の正義」を促進する気持ちを胸に抱き、態度を受動から能動に変化させること▽さまざまな政治档案を能動的に収集し、国家の安全や人権などに干渉しない限りは公開を原則とすること▽各機関から送られてきた档案について、重要な情報を口実を作って隠さないこと─の3点を掲げ、これらを着実に実行するよう伝えた。 (葉素萍/編集:田中宏樹)