<北朝鮮超望遠レンズ撮影>謎の軍需産業都市・満浦(2)辺境で生きる庶民の暮らし 牛車で収穫、リヤカーの上でゴロンと寝る子どもたち(写真10枚)
北朝鮮慈江道(チャガンド)は、深い山間部に位置する軍需産業の中心地だ。最近では、米国のシンクタンクが、慈江道にあるミサイル基地を新たに特定したという報道もあった。こうした地理的・経済的特性上、北朝鮮国内においても、慈江道へ入ることは厳しく統制されており、中国と国境を接しながら脱北者の数も少ない。10月中旬、謎に包まれた慈江道満浦(マンポ)市を対岸の中国吉林省集安市から撮影した。人々の暮らしの一端を写真で報告する。(洪麻里) ■<北朝鮮写真報告>哀れな女性兵士たちの素顔 (2) 母親が心配する軍内のセクハラと栄養失調(4枚)
深い谷間の裾野に広がる集落。背後の山は所々、耕されて畑になっている。手前の白い支柱には有刺鉄線が張り巡らされている。
手前は唐辛子畑だろうか。農場員らが収穫した作物を牛車に載せている。牛は農場の共有財産で、今も農耕には欠かせない労力だ。
屋根の上で、トウモロコシがぎっしりと干されている。トウモロコシは主食で、乾燥させて砕いたものを炊いたりお粥にしたり、粉末から麺を作って食べる。手前のリヤカーでは子どもたちがひっくり返るように寝ている。
女性が乗る自転車の前かごには、「満浦」と居住地を示す登録証がつけられている。
昼食時に作業から戻る農場員たち。飼料にするのか藁を抱えている。奥の家の屋根にはトウモロコシが干してある。
大人のぶかぶかの上着を着る子ども。横は母親だろうか。飛び跳ねるように後を追う。北朝鮮では親が農場員なら子どもも農場員にならなければならない。
哨所(検問所)の手前で、「検閲員」の腕章をつけた軍人が4輪駆動車に乗った軍人と話をしている。
個人住宅の修理中だろうか。防犯のため、扉は鉄製で施錠部分が見えないようになっている。子どものいたずらか、白い壁には手形がくっきり見える。
石灰石工場もしくはセメント工場とみられる。一目で老朽化が分かるが、稼働中のようだ。
※写真はすべて慈江道満浦市。2024年10月、中国側から撮影アジアプレス
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