宿敵トッテナムファンの受刑者にメダルを授与したアーセナルの英雄
刑務所での日々が人生を変えた
今回、ノースロンドンの刑務所では、アーセナルの財団法人からインストラクターが来て6週間のコーチングコースが開かれた。受講した受刑者にはイングランドサッカー協会が認めるレベル1の資格が与えられる。そのコーチライセンス証明書とメダルを15名の受刑者に手渡したのがライトだった。 フットボールに救われたと語るライトだが、人生を変える転機になったのは刑務所での時間だったと振り返る。「こんなの自分の人生ではない」と感じたライトは出所後、すぐに左官の見習いを始めた。「何かやらないといけないと思った。それがフットボールだとは、まだ分からなかった」と話すライトは、一歩前に進んだことで人生が好転したという。 そんなライトからメダルを受け取った受刑者の1人は、誇らしいが、それ以上に家族が喜んでくれるのがうれしいと語ったそうだ。新たな一歩を踏み出すきっかけとなる式典だったが、ちょっとした問題も発生した。資格を取得した15名の中に、アーセナルの宿敵であるトッテナムのファンがいたのだ。 それを知ったライトは「そうだね、ようやくトッテナムのファンにメダルを届けることができたね!」と、60年以上もリーグ優勝から遠ざかるライバルクラブを揶揄しつつ、いつもの陽気なキャラで笑いを誘ったという。 つらい過去を乗り越えて、満面の笑みで周りを明るく照らすイアン・ライトだからこそ、誰かに希望を与えることができるのかもしれない。