（写真：南日本新聞社）

　鹿児島県内で私立高校への関心が年々高まっている。今春の入試では、受験者が定員を大幅に超えた学校もあり、関係者からは「もはや滑り止めではない」との声も聞かれる。７月上旬、鹿児島市で開かれた私立中高の合同説明会には、過去最多の２５５２人が来場。訪れた小中学生や保護者に、進路選択で重視している点を聞いた。 【写真】過去最多の２５５２人が来場した私立中・高フェア＝鹿児島市の城山ホテル鹿児島

　県内全２１校による合同説明会「私立中・高フェア」は県私立中学高等学校協会（県私学協会）が２００５年から開いている。会場にはポスターやのぼり旗で飾られた各校のブースが並び、志望校の情報を聞きに来た人が列をつくった。 　第一鹿屋中の３年生は、志望する看護科がある３校で話を聞いた。「病院研修や卒業後の就職先など、看護師への道のりを詳しく知ることができた」と満足そう。父親は（３５）は「どこに通うにもバスが必須。安心して登下校できる環境なのか気になる」と、スクールバスの運行時間や費用を質問した。 　会場の一角には、各校の制服も展示。さまざまなデザインのブレザーやセーラー服が並んだ。保育士を目指す鹿児島市の中学３年女子生徒は「同じ保育科なら、制服も決め手になる」とチェックしていた。 　高校の就学支援金制度に関する相談コーナーも設置された。県学事法制課の職員が概要を説明。３１０組が訪れ、実際の支援額や手続きの流れを確認した。

　２０１０年度始まった支援金制度は２０年度、私立を対象に拡充された。世帯年収５９０万円未満（両親と全日制私立高生、中学生の４人家族で両親のどちらかが働いている）の場合、年３９万６０００円支給される。 　文部科学省の調査によると、全日制私立高の平均授業料は約４４万円。支援金を差し引くと、既に実質無償化されている公立高との差は小さくなっている。 　中学３年の息子と相談コーナーを利用した母親（４６）は、進路選択では学費を重視する。「支援金に加え、特待生制度を設けている学校もあり、学費は公立と変わらない印象。前向きに検討したい」と話した。 　県私学協会によると、県内の高校入学者に占める私立の割合は、１９９４年度の２６％が、２０２４年度は３４％に上昇している。原田賢幸会長は「制度が浸透したことで学費への不安が和らぎ、私立も選択肢の一つになってきた」と分析している。