「横浜方式」をヨコ展開 待機児童解消加速化プランとは?
待機児童の問題が喫緊の課題となっています。2013年4月現在、待機児童の数は2万2741人。3年連続で減少しているものの、潜在的には65万から80万人の待機児童がいるともいわれています。こうした現状を受け、安倍内閣は「待機児童解消加速化プラン」をスタートさせました。新しい「保育支援制度」が始まる2015年を待たずに、地方自治体に対して支援策を講じるものです。 【図表】2015年4月から始まる新しい「保育制度」とは? 今回、打ち出した「待機児童解消加速化プラン」とは、どういう内容なのでしょうか。
2017年度までに40万人分の受け皿整備
保育の受け皿確保について、政府は高い目標数値を掲げています。保育ニーズがピークを迎える2017年度末までに計40万人分の整備を後押しし、待機児童を解消するとしています。 加速化プランはすでに始まっており、昨年度から2014年度までの2年間で20万人分、新しい保育制度が始まる2015年度から2017年度までの3年間でさらに20万人分、というスケジュールで進められます。厚生労働省保育課は「目標どおりに整備できれば保育の潜在ニーズは満たせるのでは」としています。
「5本の柱」の内容を詳しく見ると
政府による待機児童対策は、2001年から始まった「待機児童ゼロ」作戦など、これまでにも実施されてきましたが、残念ながら待機児童は解消されていません。一方、自治体レベルでは、2013年5月に横浜市が「待機児童ゼロ」を宣言しました。 今回、政府はどのように「受け皿」を確保していくのでしょうか。加速化プランは「5本の柱」で自治体の取り組みを支援していくとしています。
(1)賃貸方式や国有地活用などによる保育所整備
待機児童はとりわけ都市部で深刻で全体の8割を占める。しかし都市部では保育所を建設する「場所」が不足している。これまでは土地を確保して建物を建て、園庭もつくって、という形だったが都市部ではそれは困難。そのため、国有地を活用したり、土地建物がある賃貸方式でもできるように補助をする
(2)小規模保育事業の運営支援
都市部のように土地が十分に確保できない中で、少人数でも事業が行える小規模保育(6人以上19人以下)に運営費などを支援する。待機児童の82%が「0歳から2歳までの低年齢児」なので「小さな保育施設をたくさん作る必要がある(厚生労働省保育課)」。 また、幼稚園は普通、昼までに終わるので、親が帰ってくる時間までの長時間預かり保育にも支援を行う