<ドラマアカデミー賞>脚本賞は「ふてほど」宮藤官九郎氏 阿部サダヲの笑いの表現には“絶対の信頼”シリアスな場面は“期待以上”
■“天才的な手腕”と評価された宮藤官九郎が13度目の受賞 2024年1~3月放送ドラマを対象に開催した第119回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞の受賞者を発表中。脚本賞は、阿部サダヲ主演「不適切にもほどがある!」(TBS系)を手掛けた宮藤官九郎氏が通算13度目の受賞となった。“昭和のおじさん”小川市郎(阿部)がひょんなことから1986年から2024年の現代へタイムスリップする同作は、「タイムスリップを活用し、令和の問題をあぶり出した手腕が天才的」と絶賛された。 【写真】毎回のミュージカルシーンも話題に 受賞を受けて宮藤氏は「脚本賞、ありがとうございます。毎回、新作ミュージカルがあるというハードルを越えてくれたキャストとスタッフの皆さんに感謝します」とコメント。 作品については、「現代社会で生きづらさを感じながら口に出せずにいる人々のモヤモヤを、昭和からタイムスリップして来た主人公が一刀両断するというコンセプトで、特に変わったドラマだという認識もなく書き始めました」と語り、「読んだ人から『痛快』との感想を頂き、へえ、そういうもんかと」と予想以上の反応だったと明かした。 ただ、昭和を生きてきた一人として「別に昭和が良かったとは思わないけれど、全否定もできないし、僕の周りにも息苦しさを感じつつ『時代だから』と考えるのをやめてしまう風潮があり、そこに鉱脈がある気がして」今作を書いたという。そこで「両方の時代の価値観を持つ人がぶつかりつつも『話し合いましょう』と歩み寄り、主人公の市郎(阿部サダヲ)が令和から昭和に戻ったとき、彼の価値観も変わっているという展開にしました」。 ■阿部サダヲは「シリアスな場面で期待以上の演技を見せてくれました」 同じ劇団に所属し32年の付き合いになる阿部は今作で主演男優賞を獲得。宮藤は「自分の中に阿部くんの声や芝居がインストールされているので、自然に市郎のセリフが出てきたし、阿部くんも僕のセリフを読み慣れているので『こういうニュアンスですね』と上書きして演じてくれたのではないでしょうか」と互いへの理解の深さをうかがわせ、今作での阿部の演技については「特に笑いの表現には絶対の信頼があったけれど、シリアスな場面では、これまでにない期待以上の演技を見せてくれました」と称賛していた。