マンゴーの袋掛け 携帯送風機で手早く 沖縄の農大校生が実現
10a当たり9時間以上短縮
沖縄県立農業大学校の吉田野愛さん(20)は、安価な携帯式の送風機を使ったマンゴーの袋がけについて研究し、10アール当たり9時間以上、作業を省力化できることを明らかにした。不慣れな人でも簡単に袋を膨らませられ、果実品質も向上した。マンゴー以外の果樹の袋がけでも活用が期待できる。 【実演動画】携帯式の送風機でマンゴー袋がけ 袋がけは日焼けや擦れの抑制に行うが、十分に膨らませないと着色不良の原因にもなる。手がけでうまく行うには慣れが必要なため、初心者でも簡単に行える方法として研究した。 使った送風機は小型で持ち運びしやすい。充電式で、インターネットでの購入価格は数千円。果実に袋をかぶせ、下部の通気用の穴に送風口を差し込んで5秒ほどで膨らませる。学生3人に協力してもらい、手がけと作業時間や品質を比べた。 10分間でかけられた袋の枚数は、手がけで平均14・3枚、送風機で同18枚だった。10アール当たりの果実数を4000個として計算すると、手がけで46時間40分、送風機で37時間20分となり9時間20分短縮できた。収穫した果実のA品率も、送風機での作業区が61%で手がけを7ポイント上回った。 品質の向上による売り上げの増加や作業時間の短縮での労賃の削減、送風機の購入費から試算すると、所得は10アール当たり8万7184円増えた。吉田さんは「誰でも簡単にできて、手直しの必要などもない。予備のバッテリーがあると、止まらずに作業ができる」と話す。
日本農業新聞