広島・黒田、オコエとの23歳差対決に勝って200勝まで後2勝!
広島の黒田博樹(41)が10日、仙台のkoboスタ宮城で行われた楽天戦に先発、8回を投げて9安打を打たれながらも7奪三振と要所を締めて無失点、4月30日の中日戦以来の今季5勝目を手にした。楽天のオコエ瑠偉(18)との“23歳対決”で貫禄を見せての熱投だった。これで日米通算200勝まで残り2つ。交流戦明けには、記念すべき記録を超えそうだ。 もちろん容赦はなかった。4点リードの二回二死一、三塁で迎えたオコエとの初対決。初球は143キロのツーシーム。ストレートと変わらぬスピードと、腕の振りからインサイドに投じられる“宝刀”に差し込まれたオコエの打球は、ポーンと一塁ファウルグラウンドに上空に上がった。 「凄いっすね。見たことがない感じでボールが動いていました。初球からあわせようと思ったのですが」 5回、7回は、いずれも先頭打者としてオコエと対峙したが、いずれも今度はスライダーで三塁ファウルフライ、センターフライと、バットの芯で捉えることは許さなかった。追い込まれたら対応できないと、オコエを心理的に追いつめた貫禄のピッチング技術である。 だが試合後、黒田が「気持ちが入ったし力が入った」と振り返ったのは、23歳下のスーパールーキーとの対決ではなく、40歳の松井稼頭央との職人対決だった。 一学年違い。大阪の上宮高、PL学園のライバル高同志でしのぎを削り、メジャーでの対決もあった。彼らにしかわからない世界観があったのだろう。6回一死一、二塁で楽天ベンチが動き、松井稼を代打に送ってくると、黒田の勝負勘がそのピッチングにギアを入れさせた。カウントを整えておいて、外へツーシームを落とす。ゲッツーにおあえつらえむきのセカンドゴロ。試合後、松井はミニキャンプを張るために2軍落ちを命じられた。残酷なプロの世界。しかし、黒田も2軍落ちどころか、「いつ肩がとんでもおかしくない」という悲壮な決意を胸にマウンドに向かっている。 8回は続投を志願した。完封はならなかったが、苦しいブルペン陣に休養を与える価値ある116球、198勝目となった。ここ4試合、勝ち星から遠ざかり、3日の最強ソフトバンクとの対決では、柳田、内川、松田に、まさかの3者連続アーチを浴びた。黒田のプライドを傷つけたのは想像に難くない。 だがそれ以上に、肩、首に慢性的な痛みを抱え、中6日間の調整方法を工夫するなどしながら、ギリギリの状態に先発マウンドに立っているのが実情。元ヤクルト、西武で監督を務めた“大御所”の広岡達朗氏が、「見ていて体が万全でないのがわかる。200勝も目の前だが、ペナントレースを考えると、それ以上にいつパンクしてしまうかが心配だ」と、珍しく辛口ではなく、41歳のベテランの肉体を気にかけるほどの状況で、ついに日米通算200勝へのカウントダウンに入った。 「チームが勝ててよかった。先のことは考えられない。まずは、しっかりした状態で次の登板です」 41歳のレジェンドは、いつもの黒田節でコメントを締めくくった。