「校長」「保護者」「元教員」が明かす イギリス式全人教育と驚愕すべき教員の質の高さ 英国名門パブリックスクール「ラグビースクールジャパン」の知られざる秘密
イギリスの名門が日本へ
イギリス流の“エリート学校” 東京・秋葉原からつくばエクスプレスで北東へ――。 江戸川を越えて千葉県に入り、さらに進むと緑豊かな景色が広がる。 やがて電車は柏の葉キャンパス駅にすべり込む。駅の東側は近未来都市のようなデザインのマンション群。西側は柏の葉スマートシティ。大型ショッピングモールの先に、東京大学の柏IIキャンパスや千葉大学の柏の葉キャンパスが広がる。 シティ内に居酒屋はない。パチンコ店もない。学びと研究に徹した街だ。 駅から徒歩で3分ほど。千葉大の隣に、2023年9月、ラグビースクールジャパンが開校した。首都圏初の、イギリスの名門パブリックスクールの日本校だ。 パブリックスクールとは、イギリスの歴史と伝統のある私立中高一貫校のことをいう。オックスフォード大学やケンブリッジ大学など世界的名門大学への進学を前提とした学校だ。イギリスには、ラグビースクール、ハロウスクール、イートンカレッジなど“ザ・ナイン”と総称される名門中の名門9校がある。 日本でも麻布、開成、武蔵の“御三家”をはじめ優れた教育を施す高偏差値の学校はあるが、パブリックスクールは日本の最難関進学校と趣を異にする。 まず、寄宿制を基本とし、厳しい規律を設け人格形成も行う。そして学業に限らず、スポーツ、音楽、アート、建築、デザインなどの専門分野のカリキュラムも充実。生徒一人一人の志向に合わせたタイムテーブルによって、多岐にわたる才能の育成に努めている。 卒業生は政財界、スポーツ界、映画・演劇界など広い分野でリーダーシップを発揮してきた。イギリス流の“エリート学校”ということになるだろう。 卒業生にルイス・キャロル 校舎も荘厳で歴史を感じさせる。J・K・ローリング原作の映画「ハリー・ポッターと賢者の石」を見た人なら、リアルにイメージできるかもしれない。主人公のハリーが入学する魔法界の名門、ホグワーツ魔法魔術学校はパブリックスクールがモデル。実際に撮影はハロウ校内でも行われた。 そのハロウ校は2022年8月に、岩手県の安比(あっぴ)高原にハロウインターナショナルスクール安比ジャパンを開校。そして、2023年にラグビースクールジャパンが開校した。 ラグビー校の本校は1567年創設。1823年、フットボールの試合中、ラグビー校の生徒、ウィリアム・ウェッブ・エリス少年がボールを抱えて相手ゴールに走り出した。この出来事がラグビー・フットボールの始まりという説がある。だから、ラグビーのワールドカップの優勝トロフィーは今も“ウェブ・エリス・カップ”と呼ばれる。 卒業生には、第2次世界大戦前にナチスドイツへの宥和政策に尽力した首相ネヴィル・チェンバレン、数学者で作家のルイス・キャロルなどがいる。 日本校でもイギリス式のカリキュラムを採用。授業はもちろん、校内での会話や読み書きはすべて英語だ。学年は日本の小学6年生から高校3年生に該当する7年制。全学年で780人規模を目指している。 1年目の2023年度は1学年で、16カ国以上約140名が在籍する。総事業費は約120億円だ。
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「週刊新潮」2024年3月14日号掲載