中国のEC最大手「アリババ」創業者「ジャック・マー」が沈黙を破った背景に「巨額特許訴訟」
「アリババグループ」創業者のジャック・マー氏
中国で最も名の知られた企業家と言えば、ジャック・マー氏(59)をおいてほかにない。 ご存じ、世界最大級のEC(電子商取引)事業者「アリババグループ」を創業し、隆盛を極めた人物だ。しかし、2017年1月、就任間近のドナルド・トランプ米大統領と会談し、習近平政権に無断で米国民100万人の雇用創出を約束したことがケチの付き始めに。 続いて、20年10月に上海で開催された金融会議で、「時代錯誤の規制は中国の技術革新を窒息死させる」と締め付けの厳しい中国の金融行政への批判を展開した。その結果、アリババ傘下で金融サービスを扱う「アント・グループ」は翌11月に上海と香港の株式市場で新規上場を控えていたのに、急遽、中止に追い込まれた。 それ以来、習近平政権に目を付けられたマー氏は公の場から姿を消した。一時は、家族共々日本に滞在し、温泉やスキーリゾートに出掛け、あるいは、「ラオックスHD」の羅怡文(らいぶん)CEOがオーナーの東京・銀座にある会員制クラブで在日中国人実業家らと交友関係を結んでいたとされる。 その最中、ブルームバーグが「沈黙破ったジャック・マー氏、表舞台復帰か―アリババの未来に危機感」とのタイトルで記事(23年11月30日付)を掲載した。突如、マー氏がアリババの社内フォーラムへのスタッフの投稿に対して「偉大な企業はいずれも冬に生まれる」「未来のために改革をいとわない人々、どんな代償や犠牲もいとわない組織こそ真に尊敬される」との回答を寄せ、アリババに軌道修正を促したという内容だった。 (カネに振り回される人々のドラマを描く「週刊新潮」の連載コラム「MONEY」より)
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「週刊新潮」2024年2月22日号「MONEY」欄掲載