イーロン・マスクが「累計112億円」をトランプ陣営に献金、提出書類で判明
テスラCEOのイーロン・マスクが、直近の四半期にトランプ前大統領を支援する特別政治活動委員会(スーパーPAC)に約7500万ドル(約112億円)を献金したことが、10月15日に公開された書類で判明した。これにより、世界一の富豪であるマスクがトランプを当選させるために投じた金額が、初めて具体的に明かされた。 連邦選挙委員会(FEC)への提出書類によると、マスクは7月1日から9月30日までの期間に「アメリカPAC」に7495万ドル(約112億円)の献金を行っていた。この金額は、同期間にこのスーパーPACが報告した7495万20ドルのほぼ全額に相当する。 今回の提出書類は、マスクがこのスーパーPACに多額の資金を提供していることを初めて公に確認したものだ。これまでマスクが月に最大4500万ドル(約67億円)を献金したとの報道があったが、彼はこれを否定していた。 アメリカPACは、トランプの選挙運動の現地活動や有権者の自宅の個別訪問などの活動を主に担っている。また、この団体は、激戦州の有権者から「言論の自由と銃所持の権利」を支持する署名活動を始めており、署名者を紹介した人に47ドル(約7000円)の謝礼を支払う活動でも注目を集めている。 マスクは、トランプの再選に向けた最も声高な支持者の一人になっており、8月にはX(旧ツイッター)上で開催したトランプとのディスカッションに参加し、10月初旬にはトランプの選挙集会にも登壇した。 この提出書類は9月30日までの献金の額を示しており、それ以降のマスクの献金の額や投票日までにどれだけの資金を提供するのかはまだ不明だ。また、トランプがホワイトハウスに返り咲いた場合に、トランプはマスクを「政府の効率化を担う委員会」のトップに起用する可能性を示唆していることも注目される。 マスクは、トランプを支持している少なくとも49人のビリオネアのうちの1人だ。トランプの最大の支援者は保守派の富豪のティモシー・メロンで、彼はトランプ支持のスーパーPACの「MAGA」に1億2600万ドル(約188億円)を寄付している。その他のビリオネアのトランプの支援者には、レスリング界の大物のヴィンス・マクマホンの妻のリンダ・マクマホンや、ABCサプライ共同創業者のダイアン・ヘンドリックス、カジノ王シェルドン・アデルソンの未亡人のミリアム・アデルソン、石油およびエネルギー界の億万長者ケルシー・ウォレンやティモシー・ダンが含まれる。 ■資金面で劣勢のトランプ陣営 一方で、民主党の大統領候補のカマラ・ハリス副大統領もビリオネアの支援者が多く、75人以上が彼女を支持するか、彼女を支援する団体に寄付している。その中には、リンクトイン共同創業者のリード・ホフマンや、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ、元フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ、そして映画監督のスティーブン・スピルバーグなどが含まれ、それぞれが少なくとも100万ドル(約1億4900万円)を寄付している。 マスクがトランプを財政的に支援する動きは、トランプ陣営の資金調達がハリスの陣営に遅れをとる中で起きている。トランプとバイデン大統領は資金調達において比較的互角だったが、ハリスが8月にレースに加わると民主党の寄付が急増し、バイデンが撤退して以来、彼女の陣営は10億ドル(約1492億円)以上を集めたと報じられている。一方、トランプ陣営は8月末までに3億9200万ドル(約585億円)を集め、9月の調達額は1億6000万ドル(約238億円)だったと発表していた。
Alison Durkee