大橋ジム期待のミライモンスター2人が特例措置でプロテスト合格も約40人が受験できず危機的状況…井上尚弥も不透明
プロボクシングのB級プロテストが4日、横浜の大橋ジムで行われ、元OPBF東洋太平洋、日本王者で大橋ジムのチーフトレーナーの松本好二氏(50)の長男、圭佑(20)と、アマ8冠の中垣龍汰朗(20)の2人が合格した。プロテストは3月11日に後楽園ホールで行われる予定だったが新型コロナウイルス拡大の影響で中止となり、東日本では異例のJBC(日本ボクシングコミッション)の試験官がジムに出張してのプロテストとなった。後楽園ホールが使えないことで、C級のプロテストの受験待ちが40人ほどいてJBCのプロテスト責任者は「ただでさえ受験者が減っているのにいずれツケが回ってくる」と悲鳴。3月の興行が中止、延期となったプロボクシング界が未曾有のピンチを迎えている。
特例の出張プロテスト
異例の厳戒態勢である。大橋ジムの4階の入り口には「2月28日から3月14日、1800~1930、3、4階への入館を中止します」との紙が貼り出されていた。連日、全館の消毒がなされ、練習生の姿はほとんどない。松本と中垣。大橋ジム期待のホープ2人のプロテストは、その異様な雰囲気の中で実施された。 2人は筆記試験を満点でクリアすると3ラウンドのスパーリングで対戦。試験官でJBCレフェリーの福地勇治氏が、「連打して」「B級らしさを見せて」と2人を鼓舞しながら行われたスパーは途中から白熱。3ラウンドには、「プロなんだから慣れ合いのスパーをしていてもダメだと思った」というサウスポーの中垣が前に出てパンチを繰り出すと、松本もボディと右のカウンターで応戦。プロテストとは思えぬレベルの高い技術を互いに披露して一発合格となった。 「あまり実感がわかないが、今日からプロなんだと自覚を持ちたい」と松本が言えば、中垣も「小さいころから夢見たステージに立てたことは感慨深い。あっという間だったという気持ち」とプロ第一声。 2人は東農大の同級生で、昨年、互いに東京五輪代表候補を決める国内予選で敗れ、大学を2年で中退を決意してプロの道へ進んだ。 松本は、幼い頃からフジテレビ系の人気番組「ミライ☆モンスター」に9度も取り上げられていたスター候補で、中垣もアマ時代に国際大会を含む8冠の実力者。2人は高校時代はライバル関係にあり1年のインターハイの決勝、2年のインターハイ準決勝、国体の準決勝で対戦、中垣の2勝1敗となっている。 異例のプロテストだった。通常、東日本でのプロテストは後楽園ホールでの興行前の時間を使って定期的に行われ、2人も3月11日に後楽園ホールで受験する予定だった。だが、新型コロナの影響で3月の後楽園での興行がすべて中止、延期となり、2人は、アマチュア実績のあるボクサーだけが許されるB級のテストであったため、急遽、特例として試験官がジムに出向いての「出張プロテスト」となった。 他の受験生もなく、報道陣だけに見守られてのジム内でのプロテストに松本は、「この場所なんで普通に練習したみたいだった」と言い、中垣も、「新型コロナの影響で場所も日程も変わったが、あとあと2人でジムでやったね、という話ができたら面白い」と感じた。 名古屋や関西、九州では、中日ジム、井岡ジムなどのジムを使ってプロテストが実施されているが、大人数の受験者がいる東京地区では後楽園ホールでの実施が受験要綱にある。今回は、新型コロナの影響を受けての異例の措置となったわけだが、影響は、これだけではない。