バスケットボール・正中岳城さん|生粋のキャプテンキャラが企業人として成長中<後編>
チームスポーツの選手と企業で働く人間の共通点
――引退後の異動先の部署はどちらですか? 正中 渉外広報本部です。コーポレートとしての正しい情報を世の中に発信していくことが大きなミッションになり、扱う内容は当然、スポーツに限りません。むしろ、関係ないものの方が多く、経営方針や脱炭素・電動化への取り組み、商品や技術発表など、世の中の動向も捉えながら、正しい社内状況を発信していくことがメインとなります。広く社内情報も集まってくる部署になるので、社内調整やスケジュールの整理なども重要な業務になってきます。 ――バスケ選手からいわゆるサラリーマンになったわけですが、戸惑いはなかったのですか。 正中 特にはありませんでした。実業団時代には、リーグ戦の期間でも継続的に出社していた時期もあり、オフ期間の3~4か月はまとまって出社して業務についていましたし、それが入社からBリーグ開幕までの9年間続きました。ただ、何か実績を残したというわけではなく、それなりの顔をして机にいたというのが正直なところですが(笑)。 入社後の全体研修も受けていますし、以降の研修履修のタイミングでも受講もしており、配属部署でも業務を学ぶ機会もありました。ですので、現役を引退してセカンドキャリアに向かうというよりも、元々社員として働いていて違う部署に異動したというイメージでしたね。 ――確かに正中さんの場合はセカンドキャリアではないですよね。それでもアスリートとして、日本のトップリーグでプレーをしてきた経験は、今後の業務に活かされると思いますか? 正中 私は個人種目ではなく、バスケットボールというチームスポーツをプレーしていました。バスケットボールの選手は所属するクラブがあって初めて成り立つもので、その組織の中で自分が果たすべく役割や求められることが付与されます。そこで自分でそれらを理解し、役割を果たすために取り組むことで成長をしていくプロセスもあります。自分のやりたいことを見つけて自分の能力やすべきことを、バランス感を持ってチャレンジして成長していくことは一般企業でも同じだと思います。 ――そして、今年の9月にアルバルク東京に戻ってきました。ただし、これも社内の異動のようですね。 正中 はい。籍はトヨタ自動車にあり、今回、再度アルバルク東京に出向という形になります。クラブに関わる業務ですが、これまでの自分の経験で全ての仕事ができるとは思っていません。今後も大量で多様なインプットに努めなければならないと思っています。今回は特にこれをするということは決まっていないのですが、現在、事業に関わる営業やマーケティング、運営・興行演出などの現場の実務を学ぶために各部署を回っている段階で、クラブの広報についても携わるかもしれません。 ――10年後は何をされているのでしょう。イメージできますか? 正中 ちょうど50歳になっているころですね。全く違う仕事をしているのかもしれないし、バスケットボールに関わる仕事をしているかもしれませんね。ただ何をするにしても、自分のやるべきことに対して、しっかりと向き合う姿勢は崩したくないですね。何をインプットすべきか、何を学ばなければいけないかということをフラットな気持ちで見ていたいと思います。 【正中岳城プロフィール】 トヨタアルバルク東京株式会社 アルバルク事業部副部長 小学校5年生から本格的にバスケットボールを始め、県立明石高校から青山学院大学に進み、トヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)に入団。社員選手、アマチュア選手として2020年の引退までキャリアを全うした。現役引退後はトヨタ自動車に復職。渉外広報本部に配属され、企業情報のリリース発信や広報対応などの業務を担当。さらに24年9月よりアルバルク東京に再度出向し、アルバルク事業部副部長として、クラブ運営全般を勉強中。
BASKETBALL KING