予選キャンセルで、公式練習の最速チームがポール発進に。38号車KeePer CERUMO大湯都史樹「僕らに風が吹いている」
スポーツランドSUGOで行なわれているスーパーGT第6戦は、稀に見るイレギュラーな展開となっている。土曜日の予選が悪天候によってキャンセルとなったため、日曜の決勝で各チームは土曜午前の公式練習のタイム順にスターティンググリッドに並ぶことになる。 【リザルト】公式練習(実質の予選)のタイム結果 スーパーGTのスポーティングレギュレーション第29条「プラクティスセッション(公式練習等)」では、「公式予選が実施できない場合は公式練習のタイムでグリッドを決定する場合があり、その採択は競技会審査委員会の決定によるものとする」と記されており、今回のSUGO戦でも金曜日の段階で各エントラントにその旨が改めて周知されていた。そのため公式練習では、各車がさながら予選のようにタイムを意識したアタックを行なっていた。 そして実際に、予選は天候回復が見込めないことからキャンセルに。この結果、公式練習でトップタイムを記録していた38号車KeePer CERUMO GR Supra(GT500クラス)と20号車シェイドレーシング GR86 GT(GT300)がそれぞれ決勝のポールポジションとなった。なお、これらのリザルトは公式な“ポールポジション記録”としてはカウントされず、通常ドライバーに与えられる予選ポイントも付与されない。 ■タイムを意識した戦略が奏功。体制刷新後の初優勝を目指す38号車KeePer CERUMO 38号車スープラは上記の理由もあり、公式練習ではタイムを上げることを強く意識していた。走行を担当した大湯も「チームとしても、セッション前半のうちにタイムを出さないと、という意識もありました。ここぞという時にタイムを狙っていたことが、トップタイムに繋がったと思います」と振り返る。またタイヤに関しても、ソフト寄りのコンパウンドを使用していたという。 決勝レースに関しては、13時半の決勝スタートが近付くにつれて雨が弱まり、やがて止むという予報が出ている。大湯は「予報という意味では、僕らに風が吹いているなという印象で、ぜひそういう天気になってほしい」としつつ、「チームとしてミスなくやれば優勝できると思っているので、自信を持って決勝に臨みますし、是が非でも優勝したいですね」と意気込んだ。 また公式練習では走行がなかった石浦も、チームが開幕戦4位、第2戦5位、第4戦3位とコンスタントに上位入賞を続けていることから、この流れも活かして勝利を勝ち取りたいと語った。 「チームとしても良い流れで雰囲気も良いので、明日の決勝も良いレースにしたいです」 「SUGOはドライでも荒れることが多いので、レース中にコンディションが変わる可能性があることを考えると、すんなりとはいかないと思います。先頭スタートの利点を活かしつつ、臨機応変に状況を潜り抜けられるとベストだと思うので、チームでミスなくレースをして結果に繋げられるよう頑張ります」 ■チームと相性の良いSUGOでポール獲得。千載一遇のチャンスを掴みたい20号車シェイド GT300のトップだったのは、参戦3シーズン目となるシェイドレーシングのGR86 GT。平中克幸と清水英志郎のコンビは不変だが、タイヤメーカーがミシュランに変わるなど体制を変更した今年、ついにポールポジションからレースをスタートする権利を得た。 「こことの相性がすごく良いことは分かっていましたし、それを今年は何としても優勝という結果に繋げたいという気持ちが強かったです」と語るのは平中。20号車GR86は昨年のSUGO戦でもチームにとって初の表彰台を獲得しており、ゲンの良いサーキットなのだ。 また、ウエット路面に強いミシュランタイヤの強みも活かしたと言える。今季からミシュランは昨年までGT500で使用していたトレッドパターンをGT300で採用しているが、平中は「今回僕らが選んだタイヤは、ある程度雨量があっても、ダンプコンディションになっても速いタイムを出せる感触がありました。事前のテストでその感触が得られていたので、自信を持って走れました」と言う。 今季は未だ入賞がなく、苦しい戦いを強いられるシェイドレーシング。ベテランの平中は決勝に向けて「ウエットコンディションで、集団の中に入って走るのはリスキーなので、トップからのスタートは強みになる。利を活かしてそのまま勝ちたいという思いが強いです」と語った。 一方の清水は、ウエットコンディションでのSUGO戦という条件では良い結果が出るだろうという期待感があったと明かす。そして、決勝も予選日に近い難しいコンディションとなることに期待していると語った。 「僕的には、あまり晴れずに、今日みたいな中止になるかならないかくらいの状況が続いた方が安心かなと思います(笑)」 「(ポールスタートは)なかなか訪れないチャンスだと思うので、気を引き締めて優勝目指して頑張ります」
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