外見やゆし名前からかい…いじめを全面認定、市教委の第三者委報告書「学校の不適切対応で苦痛強く」
福井県鯖江市立中を昨年春に卒業した女子生徒が在学中にいじめを受けて不登校になった問題で、調査のため市教育委員会が設置した第三者委員会が、いじめを全面的に認定した報告書をまとめたことが、複数の関係者への取材でわかった。在学中の市教育委員会や学校側の対応の不備も指摘している。(佐藤祐介)
関係者によると、女子生徒は同中1年だった2020年、外見をやゆされたり、名前をからかわれたりするなどしたため、同年12月頃から登校できなくなった。学校側は同月にいじめがあったと認め、その後、加害生徒と女子生徒が顔を合わせないようにすると約束した。しかし、3年の22年に保健室で加害生徒と鉢合わせしたことなどで、再び登校できなくなった。
第三者委は昨年4月以降、女子生徒や加害生徒らから聞き取りを実施。今年4月末に調査報告書を市教委に提出した。
第三者委は報告書で、▽女子生徒の写真を無断でグループラインに投稿された▽虚偽の交際のうわさを流された▽名前を繰り返しからかわれた▽保健室で加害生徒と鉢合わせし、心理的な影響を受ける言葉を聞かされた――など6件をいじめと認定した。
市教委や学校の対応不備も指摘
学校側については「不適切な対応で被害生徒の心理的苦痛をより強いものにした」と指摘した。
例えば、女子生徒の写真を投稿された際、女子生徒は加害生徒との良好な関係を願ってカウンセラーとの面談を希望したにもかかわらず、内容を聞いた教諭が加害生徒を別室で叱責(しっせき)した。第三者委は「適切な指導で加害生徒の真摯(しんし)な振り返りを引き出せていれば、いじめがエスカレートすることもなかった」とした。
市教委の対応にも問題があったとした。20年12月に女子生徒の保護者が学校を訪れた段階で、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」の疑いがあったにもかかわらず、市教委は約2年後の23年1月まで重大事態と認定しなかった。
第三者委は、認定の遅れの背景に、調査費用や生徒らの心理的負担が考えられるとした上で、「これらがハードルとなって、被害生徒が苦しむ状況が看過されてしまった」などとした。