【速報】逆転勝訴 1型糖尿病患者らが「障害基礎年金打ち切り」で国を訴えた裁判 大阪高裁は「支給再開」を国に命じる「やっと私たちの病気のことを認めてくれた」患者は喜びの声
“あくまで通知書の不備を問題にした判決” 国が理由説明を付けて再び不支給を通知
国は控訴せず、判決は確定。ところが国は「判決はあくまで通知書の不備を問題にしたもの」として、理由説明を付けた上で、年金を支給しない処分を原告9人に改めて通知しました。 原告側は反発し、2019年7月、異例の“再提訴”に踏み切ります。
2回目の裁判では患者9人のうち8人が敗訴
2回目の裁判で9人は「改めて理由を付けて同じ内容の処分をするのが許されるなら、行政庁の判断を抑制できない」などと主張しました。 しかし大阪地裁は2021年5月の判決で、そうした主張を退け、改定後の認定要領を重視するなどして、9人の症状を個別に検討。 障害等級2級に該当すると判断した1人についてのみ、不支給処分の取り消しを国に命じました。
控訴審で患者側「1審判決は過去の就労経験を重視し、労働能力を乱暴に推認」
1回目の裁判から一転、支給再開が認められなかった患者8人は、大阪高裁に控訴。 控訴審で患者側は、 ▽1審判決は、過去の就労経験を重視し、患者の労働能力の程度を乱暴に推認した ▽糖尿病をめぐる障害等級の認定要領は、ほかの障害と比べても厳しすぎる ▽グルカゴンというホルモンの分泌異常で血糖値が乱高下する点など、糖尿病をめぐる最新の医学的知見に基づき、血糖コントロールの難しさを評価すべき などと主張していました。
8人全員が「逆転勝訴」
大阪高裁(本多久美子裁判長)は4月19日、「糖尿病の障害等級をめぐる認定要領では、3級の具体的基準は示されているが、2級の具体的基準は示されていない」と指摘。 そのうえで「8人の血糖コントロールの状態・症状や日常生活の状況などを詳細にみれば、個人差はあれど、いずれも『日常生活が著しい制限を受ける』程度=障害等級2級にあたると認められる」として、8人全員について、障害基礎年金の支給を再開するよう国に命じました。 判決言い渡しが終わると、傍聴席から拍手が起きました。
国「判決内容を精査した上で対応していきたい」
判決を受けて、国(厚生労働省)は「判決内容の詳細は承知していませんが、8人全員の支給が認められたと聞いております。今後は関係省庁において判決内容を精査した上で対応していきたいと考えています」としています。
逆転勝訴した患者は喜び語る「やっと私たちの病気のことを認めてくれた」
判決後、大阪市内での会見で、逆転勝訴した患者の一人・滝谷香さん(41)は喜びを語りました。 滝谷香さん 「いままで長い戦いではあったけれど、やっと私たちの病気のことを認めてくれたんだって、すごく嬉しくなったし、くじけそうになった事もたくさんあったけれど、あきらめずに戦ってきて、頑張ってきて良かったなと思いました」 「まだまだ色々な障害を持った人たちは多くいるし、声を上げられない人も多くいるので、(国は)そうした人たちにも目を向けて、色々な方向で支援していってほしいと本当に思います」