「文化遺産」として見直される昭和の都電。「アニメの聖地」や「渋沢ゆかりの地」などに残る都電の今を追う
21世紀に唯一残る都電・都電荒川線。荒川線は東京で最後に残った都電の2つの系統を1974年に1路線に再編して誕生したもので、今年(2024年)で50周年を迎える。 近年は新型車両の導入も進み、すっかり「21世紀のエコな交通機関」といった様相の荒川線であるが、実はその沿線の様々な場所に、都電全盛期に活躍した「昭和の都電」が保存されていることをご存知だろうか。 ⇒【写真】JR大塚駅前を走る都電 都電の都心撤退から約半世紀。かつては都内各地で見られた都電全盛期の保存車も、老朽化や再開発などによって撤去が相次いでおり、今となっては非常に貴重な存在だ。今回は都電荒川線・三ノ輪橋電停からスタートして、都電荒川線沿線に保存されている6両の都電に会いに出かけてみた。
荒川区立あらかわ遊園/6152号(荒川遊園地前)
最初に降りたのは荒川遊園地前電停。ここは言うまでもなく遊園地「あらかわ遊園」の最寄り電停となっており、夏休みなどは多くの子供たちで賑わいを見せる。 そのあらかわ遊園の入口に保存されているのが6000形6152号。6152号は1949年製で、都電最多となる290両が製造された6000形最後の生き残りとして荒川線でも活躍したが、2001年に廃車。その後、2003年からあらかわ遊園で保存されている。 6152号は今回紹介する6両のなかでは唯一21世紀まで走っていた車両であるが、すでに廃車から23年が経過。しかも、文化施設などではなく遊園地での屋外保存であるものの、屋根が設置されており外装は比較的綺麗な状態だ。 現在は1950年代まで都電の標準色だった緑とクリーム色に塗られており(ただし実際よりも色が濃く、ナンバー表記のフォントも少し異なる)、2022年からは「カフェ193」(いっきゅうさん=ライトが一球であることから)として営業中。もちろん車内に入ることもできる。車内は店舗として利用するために一部シートなどが撤去されており、都電の吊り革を模した「つりわパン」や都電グッズなども販売されている。