【オーストラリア】QLD政府、大鑽井盆地のCCS事業を禁止
オーストラリアのクイーンズランド(QLD)州政府は、同州南西部を中心にオーストラリア大陸の中東部に広がる大鑽井盆地(Great Artesian Basin)における二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)事業を恒久的に禁止する方針を明らかにした。今年10月に予定されている州選挙の前に法制化する考えだ。地元各紙が報じた。 QLD州政府は、同州とニューサウスウェールズ州、北部準州(NT)、南オーストラリア州にまたがる大鑽井盆地のうち、QLD州内の部分でのみCCS事業を禁止する。州内のほかの地域については、現行の審査手続きを経てCCS事業の承認を得ることは可能だ。 QLD州のマイルズ首相は大鑽井盆地でのCCS事業の禁止措置について、「同盆地に特有の環境や農業、経済、文化の重要性は守るに値する」と述べている。 同州政府は先ごろ、スイスの商品取引・資源大手グレンコアの子会社であるCCS専門企業カーボン・トランスポート・アンド・ストレージ・カンパニー(CTSCo)が同盆地内で計画していたCCS実証試験の申請を却下した。今後3年間にわたり年間11万トンのCO2を地下に圧入する計画だったが、同州の環境・科学・イノベーション省は、地下水源に影響を与える可能性があると判断した。 QLD州の地方自治体連盟はこれまで、大鑽井盆地内でのCCS事業を一時的に禁止するよう州政府に求めてきたため、今回の政府の決定を歓迎している。