『ペルソナ5: The Phantom X』CBTプレイレポート 圧倒的没入感をPC&スマホで味わえる幸せ
セガとアトラスが贈る、スマートフォン/PC向け新作ゲーム『ペルソナ5: The Phantom X』(以下、『P5X』)。本作は、『ペルソナ5』の世界観をベースに、新たなキャラクターたちが紡ぐ重厚なストーリーや、多数の新システムによる新鮮なプレイ体験が楽しめるRPGだ。 【画像】「ペルソナ」らしい圧倒的な没入感が味わえる! 新作ゲーム『ペルソナ5: The Phantom X』 本稿では、11月29日~12月5日まで実施されたクローズドβテストから判明した本作の魅力についてお届けする。 本作は他のオンライン対応RPG作品に見られるように、定期的に追加ストーリーが配信されたり、キャラクターなどのガチャ要素(本作においては「契約」)が存在したりする、いわゆる運営型のタイトルとなっている。 ただし、同種のタイトルにおける序盤の“お約束”的な要素――プロローグを読み、チュートリアル戦闘をこなし、ホーム画面に戻って初回ガチャを回す、などの一連の流れ――は極力排除されており、ゲームを始めた瞬間からプレイヤーを一気に世界観へと引き込むような魅力的なストーリーが展開されていく。 冒頭では、豪華絢爛なカジノのような場所で『ペルソナ5』の主人公・ジョーカーが暗躍する様子が映り、次いでジョーカーの前に立ちはだかる手練れの人物との迫力満点の戦闘が巻き起こった後、今度は自室で目覚める『P5X』の主人公の姿が描かれる。 このプロローグ部分すらも、2Dアニメーション、3Dムービーによるカットシーン、3Dモデルによる会話パート形式と、多彩な表現方法が織り交ぜられており、極めてリッチな手触りとなっていた。 さらに、こうした2Dアニメや3Dムービー表現は、プロローグ以降もストーリーの随所で差し込まれ、印象的なシーンを最大限に盛り上げてくれる。また個人的には、会話パート部分におけるキャラクター3Dモデルのモーション付けに驚くほどの丁寧さを感じた。 本作の主人公は、都内・下北沢の己刮学園に通う高校生。モノローグからはどちらかといえばクールで淡白、意志薄弱そうな印象すら受ける。 しかし物語が進むごとに、自分を含む人々の“欲望”が何者かに“盗られて”いる事実を知っていった彼は、“欲望”を奪い返すことを決意。同時にペルソナ能力の覚醒を果たす。 ちなみに主人公に対して、人々の集合的無意識を映す異世界「メメントス」や、襲い来る敵「シャドウ」などに関する知識を授けてくれるのは、本作におけるマスコット的な存在のフクロウ「ルフェル」。日本語を話すことができ、現実世界ではふくふくとしたフクロウそのものの姿だが「メメントス」内では二足歩行の人型になる点などは、『ペルソナ5』のモルガナにも共通するところがある。 頼れるナビゲーション役の「ルフェル」なのだが、ところどころ古風な言い回しを用いるせいで、主人公との会話のなかでジェネレーションギャップ(?)に戸惑ったり、驚いたときには「ホァッ!?」と声を上げたりなどのコミカルな描写もある愛すべき相棒だ。 バトルに関しては基本的に「ペルソナ」シリーズのシステムを継承しており、相手を弱点属性で攻撃すると再行動できる「1MORE(ワンモア)」も健在。なお、「1MORE」時は味方1体を選んで専用の攻撃をくり出す形式となっていた。 また「HIGHLIGHT(ハイライト)」というキャラクター固有の大技も新たに追加されていた。こちらはバトル中に専用ゲージが最大まで溜まると発動可能。ド派手かつ美麗なムービー演出も用意されており、爽快感はバツグンだ。 『ペルソナ5』でも高い評価を受けていたスタイリッシュなUIや、すべての敵をダウンさせると発動できる「総攻撃」でバトルに勝利した際に流れるフィニッシュ演出なども目に楽しく、『ペルソナ5』経験者なら色褪せない興奮を、未経験者ならば驚きと感動を味わえることだろう。 『ペルソナ5』といえば、渋谷、新宿、秋葉原、吉祥寺(『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』にて追加)といった実在のエリアを探索できることも魅力のひとつ。本作においても路線図風のマップからそれらの存在を確認でき、主人公の自宅がある「雑司ヶ谷」も新たに追加されていた。 現実世界、異世界ともに3Dのフィールド内を駆け回ることが可能。今回はPC版でプレイしたためWASDキーによる移動操作だったが、これといって違和感はなかった。 ゲーム内設定ではキー設定を任意にアサインできるようになっていたほか、コントローラーに関する設定項目も存在したので、各自慣れ親しんだデバイスで問題なくプレイできることだろう。 またこれはPC版特有の仕様と思われるが、ゲーム画面のウィンドウを非アクティブ化した際にBGMがフェードアウトするようになっている点も地味ながらおもしろい仕掛けに感じた。 こうした細やかな配慮がなされていることからも、もちろんストーリー自体の魅力やリッチかつ多彩な表現からも、「ペルソナ」の名を冠するにふさわしい没入感のある体験をプレイヤーにもたらそうという気概がうかがえる本作。 筆者としては、ストーリーや探索のボリューム感からどちらかというとPC版で腰を据えて楽しむことに適したタイトルだと感じたが、選択肢のひとつとしてスマホでもプレイ可能である点は素直に歓迎したい。 なにせ本作は、コンシューマーゲームとしての「ペルソナ」シリーズの魅力をこれでもかというほどに楽しめる仕上がりになっているのだ。 運営型タイトルである以上、正式サービス開始後に大きな変化が生まれる可能性もあるが、今回体験できたゲーム序盤の範囲でも、すでにプレイヤーを『P5X』の世界観にのめり込ませるだけの魔力は持ち合わせているタイトルだと感じた。 ちなみに12月20日20時からは、公式生放送「『P5X』通信 vol.1 -クローズドβテストを振り返ろう!-」の配信も決定している。こちらをチェックすることで本作への期待をさらに高めつつ、正式サービス開始の日を心待ちにしたい。
山本雄太郎