【だし研究】家和食にすぐ使える!出汁の引き方3選
これだけは知っておきたい、基本の出汁とは?
出汁はすべての日本料理の基本であり、日本人にとってのソウルフード。出汁の利いた味噌汁を口にし、思わず「あぁ、日本人で良かった」と思わず呟いてしまう人も少なくないだろう。手軽な粉末やパックタイプの出汁も普及しているが、自らの手で引く出汁の旨さには及ばない。やや手間はかかるが、一度引けば冷蔵で3~4日間、冷凍では約1ヵ月保存可能だ。 「日本料理の主素材である魚や野菜にはもともと旨味があります。だから本来は、出汁を引く必要はないんです」と『日本橋ゆかり』三代目・野永喜三夫氏。では、わざわざ出汁を引く狙いは何かといえば、昆布に含まれるグルタミン酸と鰹節に含まれるイノシン酸、二種類の旨味成分による相乗効果にある。 「出汁の旨味が加わることで、一つひとつの食材の持ち味がさら際立つんですね。出汁を引く際に大切なのは、レシピに頼らず、五感を使うこと。天然の食材を使うため、同じレシピでも、素材の状態や気候条件などで出汁の出方は異なります」。 数値はあくまでも目安。必ず色や香りをチェックし、味見をして自分の目と舌で確かめたい。
素材を活かす吸い地や椀物に使いたい一番出汁の引き方
鰹節と昆布、双方の持ち味を最大限に引き出した出汁。鰹節は血合い抜きを選び、漉す際も絞らず上澄みのみを使う。おもに吸い地など椀物に用いられることが多い。
【材料】
水…1升(1。8L) 昆布…25g 鰹節(血合い抜き)…20g。
【作り方】
1 昆布を軽く洗い、水から煮出す。火加減はごく弱火にし、約30分かけて60℃まで水温を上げる。沸騰させないように60~ 75℃の温度で30分ほど煮出し、旨味を引き出す。 2 ゆっくり煮出した昆布は、乾燥した状態の3~4倍に膨らむ。沸騰直前まで温度を上げてから味を見て、出汁が出ていたら昆布を取り出す。 3 鍋の温度を沸騰直前の90~95℃に上げて鰹節を入れ、すぐに火を止める。鰹節を入れる際は、鍋の表面にまんべんなく行き渡らせる。 4 鰹節が完全に沈殿するまで待つ。仕上がりが濁る原因になるため、混ぜたり不必要に触れないことが重要。 5 鰹節が沈んだらキッチンペーパーを挟んだザルで静かに漉す。この際、絞ったり、押さえたりしないこと。 6 見た目にも透き通って美しい一番出汁。上品な香りと旨味が求められるため、強いコクと旨味をもつ鰹節の血合い部分の使用は避ける。