韓国造船業界、13年ぶり「スーパーサイクル」か…エコ船舶の需要増加、トランプ発の防衛産業好材料(2)
米国はK造船に艦艇の維持・保守・整備(MRO)作業を求める状況だ。ハンファオーシャンは8月に軍需支援艦、11月には給油艦など米海軍が今年発注したMRO事業2件をともに受注し、年間20兆ウォン規模で形成された米海軍のMRO市場を攻略中だ。HD韓国造船海洋もキム・ソンジュン代表が「今年はドックに余裕がなく速度を調節したが、来年から米国MRO市場に本格進出する計画」と明らかにした。MROは造船業サイクルの影響から比較的自由であるうえ、営業利益率は2けたに達し、K造船の収益性強化に寄与すると期待される。 業界は好況が来年も続くとみている。従来の好材料に加え、トランプ氏の資源開発中心エネルギー政策でK造船の代表的な新事業分野である海洋プラントの需要が増える可能性があり、中国での過剰供給で鋼材価格が下落しているため造船業の収益性もより一層改善する公算が大きいからだ。韓国企業評価のキム・ジョンフン責任研究員は「HD韓国造船海洋の子会社であるHD現代重工業が約3年分の受注残高を確保するなど、国内造船会社は来年と再来年の実績改善が有力視される」と述べた。 ただ、一部では慎重論もある。グローバル景気の沈滞が造船業にも悪影響を及ぼすおそれがあるからだ。実際、韓国輸出入銀行の海外経済研究所によると、来年のグローバル新造船発注量は今年比29%ほど減少し、K造船受注量も約10%減る見通しだ。政府と企業が持続可能な競争力確保のための投資と体質改善に注力するべきという指摘だ。ハンファオーシャン構造設計担当所属のキム氏(47)は「造船業の長期不況当時に造船所を離れた熟練人材の補充が急がれる」とし「生産性向上のための自動化システム高度化にもさらに投資する必要がある」と伝えた。 政府はK造船の人材補充のため、昨年から来年まで毎年5000人の外国人勤労者に就職ビザを発給している。業界はこれを前向きに評価しながらも改善点を伝えている。キム氏は「補充される外国人は誠実だが、技術を高める必要がある未熟練勤労者が多く、労働力不足の解消は遅れる」とし「好況期と比べて実質的に減少した賃金、劣悪な勤労環境など処遇を改善し、熟練した人材がまた造船業へ戻ってくるよう誘導しなければいけない」と話した。 政府と企業が受注戦で緊密に協調するべきという指摘もある。韓国企業間の過度な競争で海外企業に仕事を奪われる事例が出ているからだ。オーストラリア海軍の10兆ウォン台規模の新型護衛艦をめぐる受注戦で先月、HD現代重工業とハンファオーシャンがともに脱落したのが代表的な例だ。両企業間の法的紛争リスクが影響を及ぼしたという。両社は2012年から韓国型次期駆逐艦(KDDX)事業入札過程で生じた葛藤のため法的攻防をしたが、先月、受注戦でともに脱落した直後にそれぞれ告訴・告発を取り下げた。 業界の別の関係者は「防衛産業分野でHD現代重工業は海上艦、ハンファオーシャンは潜水艦に強いが、受注戦の性格により1社が前に立ち、別の1社は支援する形で役割を分担し(受注の)確率を高める必要がある」とし「政府が戦略的に陣頭指揮する必要があるが、防衛産業の受注を担当するコントロールタワーがなく、一つのチームを構成するのが難しい状況」と指摘した。産業研究院のチャン・ウォンジュン研究委員は「カナダが2026年を目標に推進中の70兆ウォン台の巡察潜水艦事業など今後の受注戦では、オーストラリアでの失敗を教訓にし、韓国企業間で協力して政府が後押しすることが求められる」と強調した。