パリオリンピック初戦大勝の大岩ジャパン パラグアイを苛立たせた小柄なアタッカーたちの俊敏な動き
10人の相手から、なかなか追加点を奪えない悪いムードを立ちきる、まさに試合を決めたワンプレー。ゴールを決めた三戸もすばらしいが、この試合でいちばん光るプレーは、斉藤の左足からくり出されたフワリとした優しい折り返しになる。 斉藤はこれ以外にも同じステップを2度繰り出している。十八番にしている感じである。三笘薫の域に迫る高度なワザだ。A代表に入れたくなるアクションである。 他方、苦しい展開に追い込まれそうになった原因は何か。パラグアイの個人能力の強さを外的要因とするならば、1トップ細谷のプレー機会の少なさが内的要因になる。カウンター時はともかく、遅攻になった時、パスワークに絡む機会が少ない。筆者は幾度となく指摘してきたが、改善されたとは言いがたい。 細谷の能力は認めるが、チームとして機能しているとは言えない。この日、右ウイングとして交代出場し、2ゴールをマークした藤尾を1トップで使うという選択もあるだろう。 中央にボールが収まらないと攻撃に迫力が生まれない。ウイング攻撃ばかりでは真の展開美は生まれない。次戦、マリ戦に期待したい。
杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki