ドンキの焼き芋が「10分で100本」売れる 人気の秘密を聞いた
ドン・キホーテの焼き芋と関連商品が好調だ。10年以上前から店舗で販売する焼き芋が10分に100本以上のペースで売れ、年間約12.3億円(2023年1~12月国内実績)の売り上げ規模を誇るヒット商品となっている。その勢いは、とどまるところを知らない。最近では、焼き芋関連のお菓子も人気だという。 【画像】ドンキで話題の「焼き芋タルト」や「焼き芋のお酒」、パッケージは日本語と英語を表記、海外のドンキ店舗、人気商品をまとめてみた(全10枚) 特に外国人向けの店舗で売れているようだが、なぜ焼き芋だけでなく関連商品まで好調なのだろうか。商品企画時に意識しているポイントなどを、運営会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)商品開発アドバイザーの長谷川伸さんに聞いた。 ●「焼き芋タルト」「焼き芋スプレッド」などの人気商品 ドンキは2023年4月、焼き芋売り場の活性化を目的に焼き芋関連のPB商品を販売した。最初に手掛けたのは「焼き芋のお酒」で、その後「焼き芋アイス」「焼き芋大福」などを投入。ドンキのPB商品を扱う新業態「ドミセ渋谷道玄坂通ドードー店」などで、期間限定で発売した。 基本的には3~4カ月ほどのスパンで商品を入れ替え、焼き芋関連の商品としてはこれまでに計8アイテムを展開してきた。現在は、お菓子を中心に4~5アイテムを販売している。 特に売れているのは、2024年9月に発売した「焼き芋タルト」(4個入り647円)だ。ドンキの焼き芋でも採用している「紅はるか」をペースト状にし、ねっとりとした食感や風味が楽しめるスイーツとなっている。「月販1万1000個ペースで、焼き芋関連品では断トツで売れている」(長谷川さん) もう1つは「焼き芋スプレッド」(431円)。2023年9月の発売から約1年で累計9万個以上、3600万円規模の売り上げだという。これまで焼き芋関連で通年販売の商品はなかったが、焼き芋スプレッドについては好調のため販売を継続している。
企画段階からインバウンド向けを意識
焼き芋関連の商品開発にあたって、さまざまな担当者が集まって企画を練っている。本部のインバウンドPB開発者や全国でインバウンド需要が高い店舗の担当者などを交えて、訪日外国人がどんな商品に興味をもっているのかなどを分析している。新商品が完成すれば、まずインバウンド向けの店舗で販売し、実績を見ながら全国に、といった流れで展開しているという。 焼き芋関連商品の特徴として、商品パッケージに日本語と英語を併記していることが挙げられる。裏面のみ海外の食品表示法に従って英字表記をして販売している。 「海外の消費者は『日本産ブランド』に価値を感じている。日本産の原料を使い、日本の工場で製造したことが安心感につながっているようだ。日本語と英語を併記したパッケージは海外でも好まれ、日本では外国人のお土産として購入されている」 焼き芋関連商品については、海外で「焼き芋のお酒」「焼き芋大福」などを販売していたが、現在は扱っていない。今後は海外輸出を強化する。具体的には、日本で販売する「焼き芋ポーション」(10個入り、431円)などを、海外でも展開していくという。PPIHの海外店舗は100店舗ほどあって、企画段階からどの国で販売するかを決定していくそうだ。 今後は「焼き芋のお酒」「焼き芋タルト」「焼き芋スプレッド」に加え、半年に1アイテム、年間2アイテムのペースで焼き芋関連商品を投入する予定だ。「売り上げとしては、関連商品全体で前年比120%増を目指す」という。