夏川結衣、等身大の主婦役が人気 「まさかフラメンコまで踊るなんて」
――この映画は、山田洋次監督の『東京家族』に端を発して、現在に至ります。『東京家族』のベースになった『東京物語』(1953年)について監督と話をされたことはありますか? 夏川:他の方はあるかもしれませんが、私はないです。『東京物語』では、もともと杉村春子さんが演じた志げ役を、中嶋朋子さんが演じられました。あの役は本当に難しい。杉村さんは大女優だし、中嶋さんはプレッシャーだったかもしれません。あの役に選ばれた時点で、すごいんですけどね。 ――夏川さんは、小津安二郎監督の『東京物語』でいうと三宅邦子さん、『男はつらいよ』シリーズでいうと倍賞千恵子さんにあたるのではないでしょうか? 夏川 私にはもったいないお言葉。ありがたいです。山田監督の作品に出演される俳優さんは、皆さんお芝居に安心感があるし、大好きな方ばかりだと思いながら、以前は拝見していました。でも自分が参加してみると、監督は演出にとても時間をかけられ、妥協をされない方で、だからこうして作品が残り、俳優は成長できるんだということが分かりました。山田組を経験した方々は、語らなくてもお互いに通じるものがあるように感じます。山田監督はそれだけたくさんの俳優を演出してこられたわけですが、一人一人の俳優の個性を知り、持ち味を引き出すのは、ものすごく大変だし、体力も使われると思うんです。山田監督に出会えて、苦しいけど幸せだなと思っています。 夏川さんの魅力にあふれた『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』で、史枝ファンだけでなく、シリーズのファン層も広がりそうだ。 (取材・文:関口裕子、撮影:伊藤さゆ)
『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』5月25日(金)より全国ロードショー (C)2018「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」製作委員会