【衆院選】与野党一騎打ちの激戦 区割り変更、それぞれ新エリアへの浸透が鍵 広島4区
衆院選が後半戦に入った21日、自民党前職の寺田稔(66)は今回から選挙区となった東広島市の各地を巡り、地元の地方議員と街頭に立った。商業施設前で地域の活性化を訴えながら、こう強調した。「東広島では新人、チャレンジャーの立場です。まだまだ浸透していない」 衆院選広島1~6区の立候補者一覧(計21人の略歴) 区割りの変更で、広島4区は旧4区の東広島市と旧5区の呉市が合わさった。他に竹原、江田島市、熊野、大崎上島町が選挙区だ。有権者約39万人のうち、東広島市は約15万人。約17万人の呉市に次いで多い。 呉市が中心の旧5区で6回の当選を重ねた寺田。東広島市の大半の地域では初めての選挙だが、「態勢を整えきれないまま公示日を迎えた」(地元の地方議員)との声も漏れる。 寺田陣営が期待するのは旧4区が地盤の自民党前職、新谷正義(49)の支援だ。演説会で「頑張ります」と拳を握るポーズを見せる新谷に、寺田が「お力を頂戴したい」と応える場面もあった。 4区の立候補を競い、党本部の裁定で今回は新谷が比例代表中国ブロックに回った経緯があり、「しこりが残っている」とみる向きもある。だが、選挙区の拡大で企業などを巡る活動が従来通りにできない寺田にとって、後援会を含め新谷の組織力は頼みの一つだ。 東広島市を拠点に戦ってきた日本維新の会比例中国前職の空本誠喜(60)は、呉市での訴えに時間を割く。序盤戦、街宣時間の約6割を充て、同市の倉橋島で育ち、市内の高校に通ったことを強調。「とにかく呉で名前を覚えてもらう必要がある」との考えだ。 路地まで選挙カーを走らせ、自転車でも駆け回る。「ふるさと呉の街を再興させたい」とアピールしながら、日ごとに追及を強めているのが自民党の「裏金」問題だ。「企業、団体のための政治ではなく、働く皆さんが安心できる社会をつくるための政治に変える」と語気を強める。 2009年には民主党から立候補して、自民党の中川秀直元幹事長を破った。その時を含めた個人の人脈で地方議員や労働組合の組合員の支援を受けるが、選挙区の各地に後援会組織があるわけではない。 ただ陣営は無党派層をはじめ、自民党への不満の受け皿になっているという手応えを感じている。旧4区で比例復活して当選した前回よりも沿道の反応は良いとする。 広島県内の6選挙区で唯一、与野党の一騎打ちとなった。 寺田陣営は与党の実績を強調。「比例は公明に」と、連立を組む公明党の比例中国の候補者の支援を強く打ち出しながら、同党支持層の票の上積みを目指す。空本には他の野党から組織だった支援はない。陣営は「政権交代した09年のような追い風があるわけじゃない」と気を引き締め、与党への批判票の掘り起こしを図る。=敬称略
中国新聞社