【戦慄の相続現場】親に尽くした子だけがなぜか不幸になる「遺言書+資産内容」の典型例
遺留分対策の具体的なスキーム
では、これらのようなケースで対策を立てるには、どうしたらいいのでしょうか。 遺産にそれなりの現金があればいいのですが、無理なら、生命保険などを準備し、遺留分相当の現金を渡せる用意をしておくことが望まれます。 それもむずかしい場合は、相続発生前、老朽化した自宅建物を建て直して建築費の借入をする、賃貸併用住宅にする、といった方法があります。借入をすれば資産を圧縮でき、賃貸併用住宅で家賃収入が確保できれば、遺留分の原資になります。 もし不動産を手放す決断ができるなら、相続発生前に売却し、自宅と賃貸物件とに分けて持ち替えておく方法もあります。それにより、借入のマイナスを利用する・土地をコンパクトにする・賃貸物件の評価減を組み合わせる、等により、評価を下げて遺留分も減らすことができるのです。 上記の事例のような事情がある場合の相続対策は、遺言書だけで終わりにするのではなく、遺留分対策まで視野に入れた対策が必須だといえるでしょう。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子