日耳鼻・村上理事長に聞く 啓発活動の意味と意義、社会に対する学会の役割
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(以下「日耳鼻」)とメディカルノートは共同で、耳鼻咽喉科に関する認知度調査を実施。結果をメディカルノートのコーポレートサイトで公開<https://medicalnote.co.jp/posts/jksjXmRg>している。調査では、どのような症状や病気ならば耳鼻咽喉科で受診・治療すべきかなどについての認知度を調べた。2021年に実施された同じ調査の結果との比較、学会が啓発活動をする意味や意義などについて、日耳鼻の村上信五理事長に聞いた。
◇「2年で変わるほうがおかしい」
2年前と今回の調査を比較すると、結果、傾向とも大きな変化はありませんでした。私が感じたのは「2年程度で意識は簡単に変わらない」ということです。日耳鼻は広報・啓発活動に力を入れていますが、そうであっても一般の認識が変わるには5年、10年といったスパンの時間がかかるでしょう。ですから、2年で大きく変わっているようだと、逆におかしいのではないかと思ってしまいます。 病名に「耳」や「鼻」という文字があれば、耳鼻咽喉科を受診するでしょう。喉頭、咽頭の病気も「咽喉科」ですから、黙っていても耳鼻咽喉科に来ます。しかし「食道」「甲状腺」などは、耳鼻咽喉科と認識できずに多くは内科に行ってしまいます。また、「上顎(じょうがく・うわあご)」という言葉からは上の前歯ぐらいしか思い浮かばないかもしれませんが、実は耳鼻咽喉科で治療する副鼻腔も含まれます。こうした「周知に努めなければどこで治療を受ければよいのか分からない」病気について一般の方々に知ってもらうのが、我々の広報・啓発活動の目的であり使命だと思っています。 最初にお話ししたように短期間で一般の意識は変わりませんから、根気強く広報・啓発活動を続けていく必要があります。その中でも、たとえばめまい、顔面神経麻痺(まひ)など、耳鼻咽喉科が専門とする領域ではあるけれど、一般の方からの認知が低い分野について、しっかりアピールしていくということになります。 そうしたアピールは難しいのですが、まじめに病気を扱うテレビ番組で耳鼻咽喉科の先生が認知度の低い病気についてしっかりと解説をするような機会があると、少しずつではあっても見ている人の専門性への理解が高まるのではないかと感じます。