海外フーディー絶賛の寿司屋が西麻布にあった! 名店で修業した実力派が握る渾身の一貫に悶絶!
だから味や食材だけでなく、空間造りにもこだわりました。苗字からわかるようにルーツが金沢の「香林坊」にある香林さんがどうしてもインテリアに入れたかったのは「組子細工」です。釘を使わず木を組み付けて作る「組子」は繊細で美しく、木材が持つやわらかな質感と陰影の妙が印象的。自然と心が和みます。
器は箱根宮の下の骨董店から時間をかけて集めてもらった室町~江戸時代のものが多く、金継ぎしながら大切に使っています。酒器は江戸切子、道具は1887年創業の「桶栄」の4代目結桶師、川又栄風作の逸品をそろえました。「手入れはものすごく大変ですが、寿司の発祥と同じ時代のものを使うことが大切だと考えます」と女将さん。
「仕入れ先は鮪と海老以外はほぼオープン準備期間にメモを片手に豊洲市場を一軒一軒回り自身で開拓しました。今も毎日市場へ通い自分の目で食材を確かめ、仲買人とコミュニケーションを取っています。また、組子と同じく金沢からも直送しているそう。
寿司の歴史や自身のルーツ、修業先の親方や父の教え、器や組子など古き佳き伝統を重んじながら、グローバルな考えや新しいものを取り入れる柔軟さも併せ持つ香林さんの握る一貫には、確かに誰をも笑顔にさせる力があります。
※価格は税込
鮨 こうりん
住所: 東京都港区西麻布1-12-6 ダイアンクレストビル 4F TEL: 03-6434-0084
文:高橋綾子、食べログマガジン編集部 撮影:溝口智彦