海外フーディー絶賛の寿司屋が西麻布にあった! 名店で修業した実力派が握る渾身の一貫に悶絶!
本日の春子鯛は鹿児島出水から。やわらかく熟成かかったかのようにむっちりしているのですが「まったく寝かせてないです。数時間前に仕込みしました」と香林さん。江戸前は少し寝かせて使うことが多いですが、“良いタネは余計なことをしない”が香林さんの流儀です。
今が旬のたかべは塩焼きや皮目を炙ってつまみにすることが多いですが、香林さんは握ります。脂がのって甘みがあり中トロを彷彿とさせるたかべはこの酢飯との相性が抜群!
「昆布巻きは80歳を過ぎても現役で握っている函館「鮨金分店」の戸嶋親方に教わりました。親方の昆布巻きはもっと太いのですが、東京なら細巻きがいいよと言っていただいたので僕は細巻きにしました」と香林さん。口中で昆布と雲丹の風味が混ざり合い、頬が緩みます。
もうひとつ、こちらの名物が握りの後半に供される棒寿司です。「海味」の棒寿司からヒントを得て、香林さん独自の作り方で旬の食材を重ねています。見た目も味にも心が揺さぶられる棒寿司です。
本日の主役はカマス。手で酢飯を長方形に作り胡麻をふりかけ、大葉、炭火で焼いたカマスを重ねます。巻き簾で形を整え、白板昆布をのせたら振り柚子して切り分けます。レアに焼き上げたカマスはしっとりふっくら。この食感を最大限に生かすのは握りでも押し寿司でもなく、この棒寿司なのだと思わせます。
すべては客の笑顔のために!
40歳になったことと結婚を機に独立を決めた香林さん。店は妻である女将さんと二人三脚で切り盛りします。一番大切にしているのは客一人一人と向き合い、誰もが笑顔で店を出てもらうこと。
「寿司ブームのせいか寿司職人が崇められていますが、僕は偉いわけでも何でもなくただの寿司屋なので違和感があります。心から願うのはうちに来たことを単純に楽しんでもらいたい。それは海外からのお客様に対しても同じで、会話ができるように英語も勉強しています。まだ身振り手振りが多いですが、それがおかしいのか笑ってもらえたりして。ピンとした空気感も良いとは思うのですが、僕は笑顔が絶えない店でありたいと思っています」と語ります。