“封印”を命じられた西武・森は、もう捕手をあきらめるべきなのか?
怪我の不運などもあったが、大学を出て4年目にようやくレギュラー争いを始めた経験を持つ里崎氏の自らの体験を元にした意見は、おそらく正論だろう。 我慢して2軍で育てるか。それともすぐに外野へ転向させるのか。 シーズン中に1、2軍の出場が可能な限り、2軍でマスクをかぶらせ、経験を積ませるという手段を西武は模索するようだが、里崎氏は「そういう中途半端をやると、二兎を追うものは一兎をも得ずになってしまいます」と警鐘を鳴らす。 もう森クラスになると、その選択は、現場レベルではなく球団フロントサイドが指針を示すべき案件だろう。ソフトバンクのような戦力に余裕のあるチームならば、間違いなく2軍で捕手として育成させるだろうが、昨季、最後の最後にあと一歩のところで僅差でBクラスに沈んだチーム事情を考えれば、DHで打率.287、17本塁打、68打点の成績を残した戦力をみすみす2軍に置くわけにはいかない。 まさに今回のDH専任も、苦渋の選択だったわけだが、若い頃からDHとしてスタートして球史に残るような名打者になった人は一人もいない。またチームとしてもDHは、将来的にも外国人枠、ベテラン枠として空けておきたいポジションなのだ。そういう現実と理想の狭間に立たされた森が、一番苦しいのかもしれないが、オープン戦では、バッティングの調子が上がらず、田邉監督からは「スタメンは厳しい」とのコメントが漏れ、DHのポジションのレギュラーの座さえ危うくなっている。ただ、17日の広島とのオープン戦では、代走から途中出場して、ライトのポジションに入り、2安打を放つなど気を吐いた。やはり森のバットが貴重な戦力であることは間違いないが、思い切って2軍での捕手修行に時間を裂く選択肢を再検討してもいいのかもしれない。