家庭の電力利用を、需給最適化に対応させる「DRready」とは
記事のポイント①再エネの出力の不安定さを補うためにDRreadyが注目される②DRreadyは家庭の給湯器などの機器をデマンドレスポンスに対応させる③しかし家庭へのインセンティブやメーカーの負担軽減など課題は多い
社会のカーボンニュートラル化を実現するには、再生可能エネルギーを主力電源にする必要がある。だが同エネの出力は不安定であるため、電力需給バランスの最適化が欠かせない。(新語ウォッチャー=もり ひろし)
国際エネルギー機関(IEA)の推計では、その最適化における必要量(短期的フレキシビリティ必要量)が2022年比で2030年に2倍、2050年には4.5倍になると見込む。 その強化策として注目されるのがDRreadyだ。これは家庭が所有する機器(給湯器など)をデマンドレスポンス(DR)に対応させることを意味する。DRとは電力需給の調整を目的に遠隔操作で家庭機器の電力使用量を調整することだ。これにより電力供給の安定化や料金低減などを実現する。 資源エネルギー庁は2024年6月4日に、有識者や業界団体で構成するDRready勉強会を設置。まずはヒートポンプ給湯器の必要要件について意見交換を始めた。将来的には家庭用蓄電池、電気自動車の検討も視野に入れる。 ただ制度設計上の課題は多い。家庭に対するインセンティブの設計方法、メーカーの負担低減、通信規格の標準化、セキュリティの確保などが主な課題だ。