生息域が北上? 北海道産ワタリガニの取扱量急増 札幌の市場、すでに昨年の2.4倍に
北海道産ワタリガニの札幌市中央卸売市場での取扱量が急増している。2024年は11月末時点で41トンと、既に昨年1年間の2.4倍となり、記録が公表されている00年以降で最多となった。温暖化による海水温の上昇で生息域が北上し、漁獲量が増えているとみられる。今後、道内の特産品として定着する可能性がある半面、秋サケ漁などで混獲した漁業者からは、漁網被害を懸念する声も上がる。 【動画】士幌町で「火球」を観測 ワタリガニは濃厚な味わいが特長で、ゆでてそのまま食べるだけでなく、パスタ料理にも向いている。四国や九州など温暖な水域が主産地だったが、15年に都道府県別漁獲量の1位が宮城県となるなど、生息域の変化が指摘されてきた。 札幌市中央卸売市場での道産ワタリガニの取扱量(1年間)の過去最多は、16年の36トン。その後、22年に5トンまで落ち込んだ後、昨年は16トンに回復した。今年、同市場で扱った道外のワタリガニは、わずか20キロにとどまる。
道内では過去にも5~11月ごろに道南や日本海、日高沖で他の魚種と混獲されてきたが、多くはなかったため、道や道漁連は漁獲量を集計してこなかった。ただ、同市場での取引状況から「近年は道内の漁獲量も急増している」(道内の水産関係者)との見方がもっぱらだ。 特に今年は豊漁で、石狩湾漁協(石狩市)厚田支所は「刺し網や定置網に混ざって、8月以降、ワタリガニは例年の2倍くらいとれた」と明かす。その後も多くとれ、10月の同市場では1キロあたり平均539円と、前年同月より2割ほど安値で取引された。水産卸の丸水札幌中央水産によると、多くは道内のスーパーや鮮魚店で小売りに回っているという。