パリ五輪目前! U-23フランス代表戦から見えてきた日本代表の課題と収穫「スピード感のレベルの差を知れたことは大きな収穫」
続いて守備に関してですが、守備ラインの選手たちが会場の雰囲気や相手のレベルに飲まれていたのか、不安定だったので「これは怖いな」と思いました。 とくに西尾隆矢はカバーの判断が遅かったし、木村誠二や高井幸大にしても最初のほうはうまくカバーリングができていたけど、そこにフランスが1人、2人と攻撃に厚みを加えてくると対応できなかったです。行く、行かない、カバーする、この3つを瞬時に正しく判断しなければ、フランスのレベルにはついていけませんでした。 もちろん、守備ラインだけの話ではなく、中盤でどう限定して、どこに追い込んで、どう後ろで奪うかというところで、中盤の選手もかなり振り回されて限定できていなかったので、後ろとしては難しい部分もありました。チーム全体と個人、両方の判断のレベルを上げなければいけないと思います。 最後はひとつひとつのプレーの精度。パスを受けるにしても足元に止めるのか、動かしながらコントロールするのか。それによって状況は変わるのに、ワンテンポ遅く、精度が低いことで寄せられ、仕方なく後ろへ戻すシーンが非常に多かったです。 相手を誘き出すためのバックパスではなく、逃げて下げることが多いので、相手の状況は変わらず、いつまでも相手のプレスから抜け出せない状態が長かったと思います。 個人的に気になった4点を挙げましたが、決してネガティブではないです。試合直前にフランスに到着して、コンディションが悪かったことも大きく影響していたと思いますし、あくまでもこれらを大会前に知ることができたというのが大きいと思っています。 日本の前に初戦の相手であるU-23パラグアイ代表もフランスと強化試合をして1-4と大敗しましたが、日本も内容としては似たようなものです。メダルを取るためには、このレベルが求められると痛感したと思います。 ただ、日本は引き分けたことで純粋に足りなかったことに選手たちは向き合うことができるでしょう。これがスコアの上でも大敗していたらそのショックを引きずっていたかもしれません。 内容はボロボロでも "引き分けた"という結果は、オーバーエイジのいない日本にとって自信を失わず、メンタル的に大きな支えになると思います。それによって若い選手たちはフランス戦の経験から成長できるでしょう。 明朝2時にいよいよ初戦パラグアイ戦のキックオフを迎えますが、大岩剛監督率いる五輪代表チームを信じて応援したいと思います。 構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜