只見、甲子園でも全力疾走貫く すがすがしく夢舞台の風に センバツ
第94回選抜高校野球大会は第4日の22日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、21世紀枠で初出場の只見(福島)が、11年ぶり4回目出場の大垣日大(岐阜)に1―6で敗れた。 【過去には小芝風花さんも】歴代センバツ応援イメージキャラ 2点を追う四回2死一、三塁、只見の5番・山内友斗が内角の直球を振り抜くと、打球は右翼手の前ではねた。三塁から酒井怜斗が勢いよく生還する。チームの甲子園初安打が得点につながり、山内は「監督と目が合った」と一塁塁上でガッツポーズを見せた。 三回には遊撃手の主将・吉津が難しいゴロを必死に追いかけ、好守でアウトに。新調したユニホーム姿で選手13人全員が出場し、モットーの「全力疾走」を貫いた。攻守交代や打ち取られてベンチに戻る時も、すがすがしさを感じさせる姿勢で球場を駆け回った。 高校がある福島県只見町は65歳以上の高齢者が50%に迫り、過疎化も進む。部員はマネジャー2人を入れて15人。ベンチ入りメンバー18人が埋まらないのは毎年のことだ。 冬場は積雪が3メートルを超え、練習は屋根がある駐輪場や体育館が中心だが、選手は苦にしない。というのも地域ぐるみの支援がある。町は夏場に町営グラウンドを無償で貸し出してくれる。全校生徒は90人に満たないが、町は「山村教育留学制度」で町外から生徒を募り、今も選手4人とマネジャー1人が制度を使って寮で暮らしながら白球を追う。この日もスタンドに駆けつけた多くの町民がメガホンを手に背中を押してくれた。 昨秋の福島県大会で粘り強い野球を見せ、過去最高の8強入り。21世紀枠でセンバツ切符をつかみ、町の歴史に新たなページを刻んだ。「町民の方々に応援の言葉をかけてもらい、元気を与えてもらった」と山内。全力疾走には、温かな古里への感謝の思いも詰まっていた。【川村咲平】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。