6つある「年収の壁」手取りに最も響く壁はどれ? 社会保険料の負担額を抑えられるかがポイント
配偶者や子どもを扶養している人が会社員・公務員などで、その勤務先で配偶者手当・家族手当などの扶養手当が支給されている場合には、「103万円の壁」が影響することがあります。 厚生労働省の令和2年就労条件総合調査によると、扶養手当等の制度は約69%の企業が設けていますが、その年収基準は103万円以下や130万円以下とされていることが多いためです。同調査では手当の支給額が平均月1万7600円という結果もありますので、手当が受け取れなくなると扶養している人の年収が20万円以上減ってしまう可能性もあります。
税金に加えて社会保険料の負担が生じる壁が、「③106万円の壁」です。現在は勤務先の企業規模が51人以上で、給与年収106万円相当(所定内賃金が月額8.8万円以上)以上、所定労働時間が週20時間以上などの要件に該当すると、勤務先で社会保険に加入することになっています(学生は除く)。 年収106万円未満などで勤務先の社会保険に加入しない場合には、自分で国民健康保険・国民年金に加入するか、家族の扶養に入ってその社会保険の被扶養者になる方法があります。
扶養に入っていれば、自分で健康保険料の負担はありません。会社員・公務員の妻が扶養に入るなどの場合には、国民年金の第3号被保険者となるため国民年金保険料の負担もありません。 これが、自分の勤務先で社会保険に加入すると、給与から健康保険料と厚生年金保険料(合わせて社会保険料)が天引きされます。現況、保険料は事業主と折半のため、国民健康保険・国民年金に加入していた人には負担減になることがありますが、扶養に入っていた人には負担増になります。
■社会保険料の負担額は大きい 社会保険料の負担額は「103万円の壁」による税金の負担に比べて大きいため、手取り収入を気にしながらパートやアルバイトとして働いている人にとって、「106万円の壁」は重要なポイントとなります。 ただ、社会保険の加入要件は近年見直しが相次いでいて、厚生労働省は来年の通常国会でも見直し案を提示する予定です。企業規模要件は、他の要件に優先して撤廃される見通しです。また、年収要件も撤廃に向けて議論が進んでいます。