地元小学校も期待、市民の安心・安全を守る対策「ゾーン30プラス」とは? 名古屋・瑞穂区
交通事故の1/4が“生活道路”で発生
名古屋市千種区、駅や学校が周辺にあり、多くの人々が行き交う“生活道路”。幅の狭い“その道路”に、かなりのスピードで車が通過していきます。地元の人々よると、この道路、近くの幹線道路へ通じる“抜け道”になっているそう。 「信号の変わり目がよくないので、青だって見えたらスピードを出す車が多いと思います」、「歩行者も自転車もすごく多いのでかなり危ない」、「みんながゆっくりめに走ってもらえると少しは安心かなと思います」など、近所の人々からは“この道路”の危険性を指摘する声が寄せられます。 実は、全国で発生した交通事故のうち、約4件に1件が“生活道路”で発生。先月、名古屋では、10歳の男の子が車にはねられ、意識不明の重体となる事故も発生しました。
“生活道路”の法定速度は、特別な規制がない限り「時速60㎞」。警察庁によると、時速30㎞以上の車と歩行者がぶつかった場合、歩行者の致死率が急激に上昇することが分かっています。この“生活道路”での事故を防ぐため、警察庁は2026年9月から法定速度を「時速30㎞」に見直す方針を固めました。
最高速度を30㎞に制限したエリア「ゾーン30プラス」。エリア内では、自転車への注意を促す表示やポールが配置され、道幅が狭くなっています。実際に走ってみると、ポールが道路の両サイドに出現。道幅が狭くなり、スピードを落とすよう促す仕掛けになっています。
さらに進むと、停止線にも変化が。ドライバー目線で見ると、停止線に向かって、道幅が徐々に狭く見えるように工夫されていました。 最高速度30㎞に規制されている区域では、死亡・重傷事故発生件数が約3割減少したというデータも。ポールなどの設置によって、さらに安心・安全な道路の整備に取り組んでいます。
この道路を利用する親子を取材すると、母親は「色が変わっているだけで、『なんだろう』と思うきっかけになる。注意深くなるのは、とてもいいかなと思います」と評価。息子は「(速い車は)ちょっと減ったかなと思います。速い車が、少し減ってくれると自分も安全に歩けるかな」と話します。
この道路を通学路にしている小学校『汐路小学校』も、「ゾーン30プラス」の効果に期待を寄せます。同校の吉野徹教頭は、「30㎞制限でスピードが緩くなることで、子どもたちが通学をする時により安全な状況が生まれて、学校の指導と地域の環境整備の2つで、子どもたちが安全に登下校できるようにしていけたらいいのかなと思います」と話しました。