「人生終わりと思っていた」家なき人たちの実態 住まいを提供…支援事業の現状
低所得や高齢など様々な理由で住宅を確保できない人たちが増え、社会問題となっています。支援が届きにくい「家なき人たち」が置かれている深刻な実態と、そうした人たちを対象に住まいを提供する取り組みを取材しました。 【写真を見る】「人生終わりと思っていた」家なき人たちの実態 住まいを提供…支援事業の現状 大分県豊後大野市にあるシェアハウスに集まった4人の男女。もともと住んでいた家で暮らすことができなくなった複雑な事情を抱えています。 (住民A)「アパートが取り壊しになった」 (住民B)「体調が悪くなっておかしいんじゃないかということで病院に行った。食べていたんですけど栄養が悪くて栄養失調だったみたいで」 (住民C)「時々帰って見るけど瓦が落ちていっている。もう住めないですね」 一人暮らしで農家を営んでいた70代の住民C。8年ほど前に持病のヘルニアが悪化し、病院に行くこともできず、福祉事務所に相談するまでの1年半は自宅ではって生活していたそうです。 (住民C)「ここから下がしびれて歩けない。トイレにもはって行くくらい。そのときは人生終わりと思っていたから自分はこのまま逝くんだなと思った」 住宅セーフティネット法では低所得者や高齢者、障害者、ひとり親世帯など様々な事情で住まいを維持できない人たちを「住宅確保要配慮者」と定義しています。 県が福祉団体に実施したアンケート調査では住宅確保要配慮者の2020年度の相談件数は2122件。このうち半数以上の1252件で住み替え先が見つかりませんでした。 要配慮者は賃貸を希望しても孤独死や家賃の滞納、トラブルのリスクから入居を拒否されるケースが多いのです。 県建築住宅課 伊東幸子課長: 「自分にも起こり得るし、自分の身近にも起こり得る。高齢化が進むとともに一人世帯が増加すると言われています。いろいろな側面から要配慮者が増えていくものと考えています」 ■住まいを提供、3食付きで1日1900円 支援が届きにくい住宅確保要配慮者の相談をワンストップで受け付けるのが自治体や福祉団体・不動産業者などで構成する「居住支援協議会」です。県内では5つの市と町で設立され、その割合は27.8%で全国2位です。