〝トランプ関税砲〟に日本大打撃か 石破首相「外交無策」で実害…自動車産業直撃、物価高に拍車も 長年にわたる対日貿易赤字に憎悪
一律関税が実現されれば、世界経済にも「ショック」は必至だが、日本も無視できない状況になっている。日本の国・地域別輸出額(2023年)は、米国が全体の2割を占めトップだ。なかでも自動車は149万台を輸出した最大品目で、関税強化は自動車メーカーだけでなく、鋼板や部品など幅広い業種に逆風となる可能性も予想される。
米調査会社ユーラシア・グループは「今年の世界10大リスク」のなかで、日本に与える影響が大きいのは「トランプノミクス(トランプ経済)」だと指摘した。トランプ氏を動かすものとして、《関税への愛と、貿易赤字への憎悪だ。米国の対日貿易赤字は長年にわたり、年700億ドル前後で推移し、赤字のほとんどは日本からの自動車輸入が原因だ》としている。
第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「より強力な追加関税が実施されれば世界経済は大きな影響を受ける。米国は輸入インフレで物価高になることで為替が円安ドル高になるとする向きもあるが、米国の景気が悪化すれば逆に円高ドル安になる可能性もある。〝米国がくしゃみをすれば日本も風邪をひく〟といわれ、影響を受ける業種は自動車業界にとどまらないだろう。前回は米中関税政争のあおりで日本が景気後退局面に入った。そうなると日銀の金融政策も利下げを余儀なくされる可能性もあり、石破政権も政策転換を強いられるのではないか」と指摘する。
産経新聞社が昨年11月中旬~12月上旬に実施し、111社が回答したアンケートでは、トランプ氏の関税政策が自社の業績にどのような影響を与えるかについては、「マイナスに働く」が12・6%、「ややマイナスに働く」が29・7%で、4割以上がマイナスの影響があるとしている。
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一方、政治の動きは頼りない。石破茂首相は大統領就任を間近に控えるトランプ氏との面会もめどがついていない。日本製鉄の米鉄鋼大手USスチールの買収をめぐってもトランプ氏はいち早く反対の意思を示してきた。今年に入り、ジョー・バイデン政権が買収を禁止する命令を出したことで、日米間の新たな懸案事項として浮上した。