天才少女・須藤弥勒はホロ苦デビュー 自らに重ねた“ミスタープロ野球”【2024年“この1シーン”】
白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。その今季全37試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。 【写真】おにぎりモグモグ ■ニトリレディス(8月22~25日、北海道・桂ゴルフ倶楽部、優勝:桑木志帆) 国内女子ツアーデビューを果たした13歳のアマチュア、須藤弥勒。初日はスコア「85」、13オーバーで最下位スタートと苦しい滑り出しとなった。それでも、ツアー初のバーディを奪い、未来への希望を感じさせるシーンを作った。 注目を集める中で迎えた1番ホール。「ジュニアの試合の何倍も人がいたので緊張しました」と語る須藤だったが、ティショットはしっかりとフェアウェイセンターを捉え、このホールをパーで順調に滑り出した。 しかし、その後はプロの壁を実感する展開に。4つスコアを落として迎えた7番パー5では、3メートルのバーディパットを沈め、ガッツポーズが飛び出した。「デビュー戦でバーディを取れたのは良かった」と笑顔で振り返ったが、この勢いを継続することはできなかった。 続く8番パー3では、握ったクラブが期待に応えずトリプルボギーを記録。「いつもミスしてしまうクラブだった」と明かし、得意ではない番手での苦戦が明暗を分けた。その後も9番でダブルボギーとスコアを落とし、前半を「44」で折り返した。後半も5つのボギーが重なり、最終的には13オーバーでラウンドを終えた。 試合後、須藤は父親から教えられたという長嶋茂雄氏のデビュー戦のエピソードを引用。「長嶋さんがデビュー戦で3打席三振したように、思い切り挑戦できたことが良かった」と明るく総括した。ちなみに長嶋氏はプロデビュー戦で国鉄のエース・金田正一氏に4打席連続三振を喫している。 13歳は「楽しんで自分なりのゴルフができたら」と前向きに語った。2日目は「78」で目標の80切りはクリア。予選落ちに終わったものの、プロの試合に挑んだ経験そのものが彼女にとって大きな財産となる。