クマ、冬眠できず人里へ 降雪期の県内・暖冬影響、目撃相次ぐ
降雪期に入ったが、県内では人里でのクマの出没痕や目撃に関する情報が相次いでいる。例年であれば冬眠をする時期に入っているが、近年は暖冬傾向のため、冬眠できない個体もいるという。専門家は駆除などで母グマとはぐれ、越冬方法を十分学習していなかったり、局地的な寒さを避けようとしたりし、出没している可能性を指摘。遭遇した場合、襲われる危険性もあり、注意が必要だ。 県みどり自然課によると、今年の目撃件数は今月8日現在で322件。このうち今月に入ってからは、6日の米沢市関根、7日の戸沢村古口の2件となっている。12月の月別目撃件数は全体で765件だった2023年が16件、376件だった22年は1件、291件だった21年は2件。今年は前年度に過去最多となる800頭を捕獲し、餌となるブナの結実も「並作」だったこともあり、全体としては目撃件数が減ったとみられる。 ただ、県警によると、今月は他にも、尾花沢市芦沢で9日、住民の40代男性が自宅敷地内でクマのものとみられる足跡を発見。11日には新庄市鳥越の国道13号で、体長約1メートルのクマが道路上にいるところを、車を運転していた30代男性が目撃している。尾花沢市の足跡の大きさは25センチほどで、体長は約1メートルと推定される。
生態に詳しい東北芸術工科大の田口洋美名誉教授によると、足跡が見つかったケースは大きさから2、3歳の個体とみられる。田口名誉教授は「母グマが捕獲されるなどし、はぐれた子グマが、どう冬眠してよいか分からず、空腹でうろついたか、急激な寒さから生き延びるため、人里に下りてきた可能性がある」と指摘する。県みどり自然課によると、過去には降雪期に母グマとはぐれたとみられる子グマが、里山で保護されたことがあるという。 秋田市のスーパーでは11月末、クマが入り込み、男性従業員を襲って店内に居座った事案が発生している。遭遇すれば、襲われることもある。同課は「家の周囲に柿の実を残していたり、ペットフードを外に置いたりなど、クマが寄ってくる状況は避けてほしい」と呼びかけている。