意外と知らない「テレグラム」は見るだけ、登録するだけでも危険なのか
テレグラムが提供する「高度な暗号化」の意義
テレグラムにはグループやチャンネルといった機能もありますが、やはり最大の特徴は極めて高度な暗号化が施されている「シークレットチャット」です。高度な暗号化が施されているメッセージアプリには、テレグラムの他にも「シグナル」などがありますが、テレグラムは大きくユーザー数で勝っています。 高度な暗号化が施されているメッセージアプリは、検閲が厳しい国や、戦時中の国においては特に貴重な連絡手段となり得ます。 たとえばウクライナ侵攻では、ウクライナの行政当局が空襲警報の発令状況をテレグラムで国民に向けて発信。戦争や空襲警報に関するやり取りにおいて、ウクライナ国内ではなくてはならないコミュニケーションツールとなっています。 一方でロシア国内でも、テレグラムは国民の間で使用されています。2022年7月時点でロシア国内の月間利用者数は3500万人超。その理由の一つにはやはり高度な暗号化を実現したうえで、検閲などに対して断固反対する姿勢を明示していることが挙げられます。 つまりテレグラムには「犯罪の温床としての一面」だけでなく「言論の自由を守るメッセージアプリとしての一面」があるということです。事実として欧米メディアもテレグラムでチャンネルを立ち上げ、情報を発信しているケースが見受けられます。
たとえば「The New York Times」はテレグラムのチャンネルを運営中。国際情勢、政治、経済、文化など、幅広いトピックについて最新のニュースが配信されています。検閲が厳しい国や戦時中の国の国民にとっては、テレグラムでニューヨークタイムズの情報に触れられることは「貴重な情報収集手段のひとつ一つ」だと言えるでしょう。
サイバー犯罪の温床としての「テレグラム」
もっとも先述してきた通り、日本でテレグラムは闇バイトやサイバー犯罪の温床となっていることも事実です。 闇バイトに利用されているのはシークレットチャット。実際に発生した事件でも、闇バイトの指示役が実行役のバイトにテレグラムをダウンロードさせて犯行場所や時間、手順などを指示。メッセージは一定時間経つと消えるため、バイトが警察に捕まっても指示役にたどり着くのが難しくなっています。そのため、SNSなどで募集されたバイトでテレグラムをインストールするように指示された場合はその危険が高いと言えます。 テレグラムはロシアやウクライナの双方で利用されているのを見てわかる通り「高度な暗号化を伴ったメッセージアプリ」であり「言論の自由を保証するメッセージアプリ」としての側面があります。検閲が厳しい国などにおけるメッセージアプリとしての利用価値は高いと言えるでしょう。 しかし、「流されるがままにテレグラムを使う」「テレグラムに誘導される」という使い方はいまの日本では危険です。使い方をよく理解して利用するようにしましょう。
オトナライフ