軌道緑化でさらにエコになる路面電車 都電荒川線が“再チャレンジ”
昨今、路面電車に再び注目されています。見直される理由はいくつかあります。自動車に比べてCO2の排出が少なく、エネルギー効率がよいこと。さらに、バリアフリーな乗り物なので、地下鉄のように階段を延々と歩かせられることがない点が高齢者やベビーカーを押す若いママから支持されているのです。 【写真】「路面電車」が復活の動き その背景は? 最近はそうした路面電車のメリットを活かしつつ、さらに軌道内を緑化する取り組みが始まっています。軌道緑化は都市景観を向上させるだけではなく、騒音や振動の低減にも効果があるとされています。また、社会問題になっているヒートアイランド現象を抑制するとの期待も膨らんでいます。
管理ノウハウ乏しく失敗に終わった過去
海外の路面電車が活躍する都市では、都市景観に配慮して軌道緑化を導入しているケースは少なくありません。東京都交通局が運行する都電荒川線も、このほど軌道緑化に着手することを発表しました。 「実は、過去にも都電荒川線で軌道緑化にチャレンジしたことがあったのです。当時は管理ノウハウも乏しく、せっかく軌道内に植栽した芝生をダメにしてしまい、失敗に終わりました。今般、東京都は“豊かな環境や充実したインフラを次世代に引き継ぐ都市の実現”と“水と緑に囲まれ、環境と調和した都市の実現”という長期ビジョンを策定しました。それに基づき、都電荒川線の軌道緑化に再チャレンジすることになったのです。手始めに民間事業者の力を借りて、検証実験を始めることになりました」(東京都交通局総務部企画調整課)
都電荒川線にとって再チャレンジとなる軌道緑化ですが、すでに国内で軌道緑化を成功させている自治体はいくつかあります。そのトップランナーとして知られているのが、鹿児島県の鹿児島市電です。 鹿児島市電の軌道内は色鮮やかな芝生が敷き詰められ、また随所に花のプランターなどが設置されています。こうした花や緑が美しい都市景観を生み出しているのです。
荒川区は線路と道路の間にバラ植える
都電荒川線の沿線でも緑化を疎かにしてきたわけではありません。都電荒川線は新宿区・豊島区・北区・荒川区の4区を走っていますが、荒川区は路線名が “荒川線”であることを理由に、都電を大切な財産と捉えています。そのため、沿線の景観保全には力を入れており、東京都に先駆けて区の事業として線路と道路の間にバラを植栽しています。